Kimと準決勝を争った徳永智也も、ここまでのマッチは苦戦の連続だった。1回戦は大田和桂介に2and1、2回戦で対戦した扇慶太朗を今年の日本アマで唯一のエキストラホールに持ち込まれる熱戦の末、20ホール目で退けると、中西直人との準々決勝も3and2。
準決勝を終えて開口一番に「精神的に疲れました」と話すのも無理はなかった。日本アマ2度目の出場で初のマッチ進出。苦戦の連続も準決勝まで駒を進めてきた徳永の準決勝も一進一退の「疲れる」展開となった。前半、Kimにリードを許しながらも7番でオールスクウェアに戻し、両者一歩も譲らないがっぷり四つに組んだ熱戦。1upのリードを許して迎えた15番のパー3。オナーのKimがピン手前3メートルにつけたあと、ティショットを右に曲げた徳永は、心配げに球の行方を目で追った。その球は、こぶに当たってグリーン手前のラフに。「Kim選手はバーディーパットを必ず入れてくると思っていた」徳永は、このアプローチでチップインを狙ったが、惜しくも球はカップの左をすり抜けた。それを見たKimは、徳永の読みどおりこれを沈めて2upにリードを広げた。
しかし、徳永も諦めない。16番でセカンドショットをピンハイ2.5メートルにつけてバーディーを奪い1upと追いすがる。17番では右バンカーからのセカンドショットを冷静にフェアウェイに戻し、3打目をピン奥1メートルにつけて、ティショットを左の林に打ち込んだKimにプレッシャーをかける。結局4オンとなったKimがボギーでこのホールを終え、徳永にこの試合で最も重要なパーパットが残された。球の後方、ホール側とキャディと慎重にラインを読んだ徳永だったが、このパットを外し、万事休す。最終18番をパーで引き分け、Kimの軍門に下った。「Kim選手の強さは分かっていた。ここぞという勝負ところのパッティングを入れてくる精神的強さに負けました」と、勝者を称えた。
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