準々決勝を迎えたクラークCCは相変わらず雨模様、昼からは霧まで発生して視界不良。それはまるで熱戦が続く大会で誰が勝ち残るか?先の見えないゲームの行く方を象徴するような天候だった。
ベスト8の4マッチの中で、注目されたのは“マッチ27”の小林伸太郎(泉国際GC)VS伊藤勇気(日本大)だった。昨年の覇者で、前日にベテランの田村尚之(賀茂CC)を再度下した小林と日本アマタイトルが喉から手が出るほどに欲しい伊藤の対決だからである。伊藤にとっての日本アマは過去2回、ベスト8までコマを進めながら準々決勝で敗れているからである。しかし、今年は3度目の関東アマ選手権を制覇して乗り込んだ今大会、なんとか過
去の成績を乗り越えたい思いが強かったはずである。
その強い意志を発揮して、伊藤のゴルフは軽快にリズムを刻んだ。アウト9ホールを消化して2up、インに移ってからも11番ホールから連続3ホールを奪取。4upまでリードを広げたからである。それには、小林のショット不調もあり、グリーンに乗っても難しいラインの生まれる位置にボールが行くし、グリーンを外した場所のラフが極端に深かったりと、悪い循環に落ち込むケースが目立つ。これで、完全に伊藤のペース。余裕からか目土用の砂袋を持ち歩き、ディボット跡の処理をするほど余裕しゃくしゃくなのだ。
そして、迎えた15番(156ヤード・パー3)がドーミーホール。池が前方をガードするグリーンの右端ぎりぎりに立つピンに向かって、伊藤のドローボールがピタリ2メートルに着地。一方の小林はグリーンを右に外し、アプローチもピンをオーバー。それは外した瞬間に5and3で、競技は終了した。伊藤にしてみれば昨年の準々決勝、6and5の大差で負けた小林にリベンジを果たした格好だ。一方、連覇を逃がした小林は「ボギー先行の自分が力不足だった。学生の大会を含めて、マッチプレーで負けるのはこれが初体験。まだまだ自分のゴルフに、メンタル面、ショートゲームの未熟な部分があることを思い知らされました。もっと練習します」と負けても前向きなコメントを残した。
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