準々決勝の“マッチ28”で25歳の社会人アマ・佐藤和夫(東千葉CC)と対戦した小平智(鷹GC)は日本大学1年生の18歳。その小平と同じ日本大学3年、20歳の伊藤勇気との対戦になった準決勝は、いわば日大学生同士の“先輩・後輩”対決。
「合宿や練習ラウンドで一緒の先輩ですから、胸を借りるつもりでプレーしました」と、先輩に敬意を払う小平。というのも、伊藤勇気、宇佐美祐樹とトップアマチュアの“二人ユーキ”は小平にとって憧れの存在とか。「特に伊藤先輩のドローボール系の球筋は僕の理想とするところ」という。
そんな二人のゲームにとんだハプニングが訪れる。伊藤が突然の鼻血で、プレーを中断する事態に
。7番ホールにある茶店でその応急措置をした伊藤がプレーを再開した瞬間、すっかりショットのリズムを崩したからである。そのホール、ダブルボギー、続く8番ではドライバーを大きく左に曲げ、谷底の深いラフ。結局、ボギーで小平に2upリードを許す結果になった。これで、インに入っても伊藤のリズムは悪循環に。午前中のラウンドのように、目土砂袋を持ち歩く余裕もない。顔をうつむけて歩く姿が痛々しい。
一方の小平はドライバーが快調。11番でひとつ取り返されるも、13番をピン2メートルにつけるショットでバーディーにつなげ、ついに15番(156ヤード・パー3)を小平が獲ればドーミーホールとなるところまで伊藤を追い詰めた。小平の6番アイアンのボールがピン手前3メートルに。伊藤は同じグリーン右のエッジ。伊藤がパターで打って外し、小平が沈めるという幕切れだった。
「準々決勝で勝って、今年こそ優勝も夢ではないと思っていたので、この結果は本当に悔しいです。なんとしても小平君に明日の決勝では勝って欲しいと願うだけです」と優等生コメントをする伊藤だが、目のフチを赤くした顔に涙の跡が残っていた?
「2回やっても勝てるはずのない先輩に勝って、明日は韓国のBi-o Kim選手が相手に。これは日本代表選手として、背中に日の丸を背負うこと? でも、年齢は僕のほうが1歳年上。後輩に負けるわけにはいかないという気持ちで、頑張ります」と小平の威勢のいいコメントだった。
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