連日の秋晴れ、それにこの日は南西の風が4メートルあって、高速グリーン(スティンプ・メーターで11.5フィート、コンパクション24)はますます速く、硬さも増した。
プロ107名、アマ12名、計119名の選手を午前と午後スタートに分けるのだが、前日のラウンドでは午前組スタートからアンダー・パーのスコアは6名、午後組からはわずかに2名だった。午後のグリーンが硬さを増すのは明白な事実なのだ。
しかし、この日の若林舞衣子は午後組スタートながら、アウト3番からの5ホールで4バーディ、一気に5アンダーまでスコアを伸ばし、この時点で2組前を行くリ・エスドを1打抜いて首位に躍り出る勢いを見せるのだから、地元
の応援団は沸きに沸いた。同じ組でラウンドする上田桃子が鋭いショットの切れ味を見せながら、いまいちバーディが来ないのだから、「我らが“ワカ・マイ”は米ツアー帰りの上田桃子より強い?」とばかりに喜んだものだ。「高校の先生まで応援に来てくれたのは、わかっていました」と言う。
しかし、“好事魔多し”とはこのこと。続く8番ホール(390ヤード・パー4)でティーショットを引っかけ、左の林の中。そこから6番アイアンで低いボールを打った第2打を樹に当て、3オン・3パットのダブル・ボギー。一気に3アンダーに後退したのだから。
「その後、インに入ると本当につらいゴルフでした。フェアウェイが狭い上に、ベスト・ポジションを確保するにはフェアウェイを2等分してティーショットする必要がある。特にイン・コースはティーショット戦略に神経を使う必要があるからです」と告白した。
結局、インではボギー2個で、この日のラウンドをイーブン・パーの72で終える。
一方、同組の上田桃子もアウトは1バーディ・1ボギーでイーブン。インに移ってもショットの精度は高いのだが、チャンスのバーディ・パットが沈んでくれない。「これだけ外れるとスコアにならない。流れを変えることさえ出来なかった。その上、グリーンをちょっと外したらボギーですから」とため息をつく。結局、インでは1バーディ・3ボギー、トータル3オーバーで2日間を終えた。
「パットはラインの読みもタッチも合っていなかった。明日はとりあえず3オーバーのスコアをイーブン・パーに戻し、最終日には6アンダーを目標に爆発したいですね。残り2日間では1ラウンドで4個のバーディは欲しい」と意気込みを語った。
プロ入り2年目の若林に4打差と水を空けられたが、過酷な米ツアーを戦って来た上田には内に秘めた闘争本能が渦巻いているようだ。
「上田さんと一緒にラウンドして、あのショットの精度は自分とは大きく違うと実感しました。あれでなければ米ツアーで通用しないのだと思いました」とは若林の試合後の感想。「上田先輩のような高いレベルに近づこうとする自分をイメージして、決勝ラウンドに臨みたい。そこが勝負の場ですから」と、決意表明をした。明日のラウンドでは3アンダーのリ・エスドと1アンダー若林の最終組。アンダー・パーはこの2名だけにしぼられて、いよいよ戦いは佳境を迎える。
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