「お疲れ様でした」とインタビュールーム。宮里が笑顔で飛び込んできた。「いい流れで1番ホールからスタートし、目標の3アンダーよりもひとつ良いスコアを出せた。プレッシャーの中、落ち着いた自分がいたし充実した1日だった」声が弾んだ。「後半は粘って、粘っていいプレーができた。残念ですが、すっきりしています」と張りのある声がビンビンと響いた。
宮里藍の2年ぶりの優勝はならなかった。最終ホールまで持ち込まれた優勝争い。アウトコースを3バーディー1ボギーで折り返した12番ホールは2メートル,13番では8メートルをねじ込むバーディーでトップに並んだ。タイトルを引きよせ、17番ホールでは3メートルのパーパ
ットを入れるピンチも脱した。 李の最終ホール、2メートルのバーディーパットが決まったのはクラブハウスで知ったというが、「相手が上だった」といさぎよかった。
前夜、雨が降りコースコンデションは一転した。堅く速いコースが、湿ってグリーンは止まった。パーキープの神経戦から派手なバーディー合戦へ。宮里も戦略を変えていた。前日多用した3番ウッドをドラーバーに変え攻めた。9番ホールではグリーン手前からチップインのアプローチもみせた。「緊張感にまけることなく集中、リズムもよくミスもなかった。やってて、楽しかったです」
宮里がバーディーとし3アンダーとなった13番ホールでは不動がスコアを伸ばし、韓国のリ・エスドらに加え上田桃子、横峯さくらのスコアも伸び大混戦。しかし、トーナメントの中心は宮里一色。期待の星の復活、苦しんだ末に帰ってきた宮里にコースは騒然となった。
しかし、勝負は厳しかった。好プレーと結果は必ずしも一致しないことを誰もが改めて知った。
宮里はけなげだった。「アメリカでのあと2週間が楽しみです」といった。次はアメリカに帰る。「。自信を持ってプレーができる、あと一歩までは来てると思うので焦ることなくまた挑戦できますね」
主戦場へ胸を張って乗り込む。この日は、藍の戦いが再び始まる記念日となったのだ。
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