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その屈辱は8年前の第36大会、千葉CC野田コースで服部道子とプレー・オフにもつれた李知姫(韓国)が2ホール目のグリーンで、痛恨の4パットを演じてしまい、掌中の栄冠を取り逃がしたことがあるからだ。
「あの試合からゴルフの調子も落ちましたし、毎年、この大会になると、周囲の人から“リベンジしろ! 悔しくないのか?”と言われるので、自分でも“いつかリベンジしたい!”と思うようになりました。それがまさか今年の大会で!と今は自分でもビックリです」
72ホール目の18番ホール(512ヤード・パー5)、李は不動裕理、宮里藍とともに3者3アンダーパーで並んでいた。「スコア・ボードを見て知っていたので、なんとかここでバーディーを獲らなければ!と思いました。でも、ドライバーショットを左に曲げ、ラフ。なんとか第3打のベスト・ポジションに運びたいと、最初はフェアウェイ・ウッドを持ったのですが、前方の樹を避け、低いフック・ボールを打つ必要があったので、今週は何度も使いこなしていたユーティリティ4番(ロフト21度)で250ヤードを打ちました。残りは105ヤード。ピッチング・ウェッジをカットに打ったら、ピン方向に行ったのですが、根元が見えない。キャディが“ボールは傾斜で戻るから寄っているよ”という。だから、グリーンへ行って、やっと2メートルに寄ったのを知りました。うれしかった!」
李はこの勝負所のスライス・ラインを冷静に沈め、単独の4アンダーパー。しかし、李がリベンジとなる勝利を確信したのはしばらく時間が経ってからだった。「3アンダーパーで3人並んでいたし、後ろの組にリ・エスドもいたから、プレー・オフも覚悟に入れていたので、私が勝ったと思った瞬間はスコア提出エリアへ行った時です。勝ちを知らされて、ちょっと涙が出そうになりました」
韓国ソウル市生まれの27歳。2000年の日本ツアー入り以来、ツアー10勝のキャリアを誇るが、メジャー勝利は初体験。今季も1勝を挙げ、コンスタントな成績を挙げていたので、このビッグな勝利でツアー界の各部門でもトップに躍り出た。賞金レース、平均ストローク(70.8932)、パーセーブ、パーオン率、リカバリー率と、ほとんどの部門で1位になったのだ。「シーズン後半には良い成績を出したことがないので、今季の残りの試合でも良いプレーをしたいと思います」と優等生のようなコメントで締めくくった。
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