この日、エースが2つ誕生した。一つは岩田寛の17番ホール、もう一つは藤田寛之の6番ホールで達成された。17番ホール、238ヤード・パー3のホールは、2ラウンド、237選手のパーオン率が18.140パーセント、平均ストロークが3.540と18ホール中第3位にランクされた難ホール。それは距離が長い上に砲台グリーンで、2~3メートルの深いバンカーが左右をガード、花道エプロンは5ヤード幅しかないことに要因がある。さらに、この日のホール・ロケーションは手前エッジから6ヤード、左4ヤードという左手前ギリギリに立つ厳しい設定。左のバンカーに打ち込んだこの日の石川遼がダブル・ボギーを打っている。「3番アイア
ンでハイ・ドローを打った。ボールが手前カラーに落ち、ピンに寄って行き、消えるのが見えた。昨日は4番アイアンで、花道狙いの刻み作戦でパー。だから、今日は3番で打って、少し当たりが悪いので“ゴー!”と叫んでいました」と説明した。拾い上げたボールをギャラリーに投げ込んで喜んだ岩田だが、この時点で4オーバーを2オーバーにしたものの、その後に4つのボギーを打ち、この日73、トータル6オーバーパーなので、心底からは喜べないようだった。
もう一人の藤田も表情は冴えない。なにしろ、この日76、トータル8オーバーパーの26位タイなのだから。6番ホール・148ヤード・パー3は、打ち下ろしなので、グリーンのセンターに立つピンの位置は視野に入っている。8番アイアンでのエース達成の瞬間が見えても、「あまりに酷いゴルフで、ホールイン・ワンも焼け石に水でした。でも、予選通過には役に立つでしょうが、そんなレベルでは納得行かないのです。とにかくショットが悪く、先行き不安なので・・・・」と沈痛な表情なのだ。それでも、「これも一生懸命にプレーしているご褒美なのかも」と残り2ラウンドに期すように、キリリと表情を引き締めた。
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