「プロ通算25勝目が2回目の日本オープン、それが永久シード権獲得とも重なる!」そんな夢にまで見た栄光の瞬間が刻々と近づいていることは間違いない。
初日から首位に立ち、第3ラウンドを終えて、唯一人の1アンダーパー。2位の上井邦浩に4打差をつけ、快調に優勝街道を進んでいるように見える片山晋呉だが、試合後の談話には苦しい胸の裡が見え隠れする。「外からは楽そうに見えるだろうが、やっている人間は大変な思いをしているんだ!」という心の叫びが聞こえそうなのだ。
「予選を終え、3日目のホール・ロケーションは易しい位置になる・・・と聞いて、コースに来てみると、とんでもない! とてつもなく難しかった。今日のコ
ースをアンダーパーでラウンドしたのがたった一人でしょ!」と声を荒げた。
アウトコース9ホールでスコアを一つ伸ばして3アンダーパー。しかし、インコースに入って難所の14、15、17番の3ホールを“ナイス・ボギー”で切り抜けると、前日までの貯金3アンダーをすべて遣い果たしイーブンパー。そして迎えた18番ホール、残り距離168ヤードを5番アイアンで5メートルにつけ、有終の美を飾るバーディで、トータル1アンダーパーなのだ。
「一緒にラウンドしたブレンダン ジョーンズが残り距離100ヤードの所を、僕はミドルアイアンで打つ。ドライバーをバッグに入れていない僕にしてみれば、このコースは今年の全米オープンを開催したトーリーパインズCC(カリフォルニア州7,568ヤード・パー71)でのプレーと同じセカンド・ショットの距離。それほどここは難しいセッティングなのです。いや、もしかしたら全米オープンをやるコースより格段に難しいかもしれない」と言うのだ。
‘05年の廣野大会を制してから5位タイ、2位と惜敗している片山だけに、“こんどこそ!”という不退転の決意で明日の18ホールに挑むのだろう。
|