JGAハンディキャップ委員会が試合前に査定した「競技用コースレーティング」では、6,797ヤード・パー71で、74.6という驚異的な数字が出た最難関コースの古賀GC。選手の多くが「ボギーが出て当たり前」と自らを慰めるのも無理はない。だから、「ボギーを打っても落ち込まない。バーディを獲ってもはしゃがない」をモットーに、何処まで我慢のゴルフを続けられるか? そんな“忍耐の心棒”を胸の裡に飲み込んでプレーした選手が一人いた。上井邦浩、大阪府生まれの25歳。アマチュア時代には、’03~’04年のJGA男子ナショナル・チームのメンバーで、’04年の世界アマ(プエリトリコ)にも出場した選手。’04年日本
アマ選手権でセミファイナリストだったからだ。
しかし、プロになってしばらく下積み時代を経験、これといった実績はないが、今大会には中部オープン優勝(レイクグリーンGC)の資格で出場したもの。71・72=143で予選を通過、第3ラウンドで多くの主力選手がスコアを落とす中、“我慢のゴルフ”を貫き通して73、トータル3オーバーパーで、なんと首位の片山晋呉に4打差の2位にランクされたのだから。
「アウトを1オーバーで折り返して、インに入ると我慢の連続。でも、我慢する気持ちのせいか、精神集中できました」とマイ・ペースを保持した。
最難関ホールの14番ホールを1パットのパーで切り抜けた後、15番ホールでバンカーに掴まり、17番ホールではグリーンに乗らず・寄らずのボギーを重ねる。しかし、そんな苦しさに耐えたお陰か、最終ホールでは“ご褒美”のバーディが待っていた。「残り123ヤードを9番アイアンで打ちました。少し右に打ち過ぎか?と思ったら、80センチメートルに寄ってくれました。我慢がこれで報われました」と会心のフィニッシュだったのだ。
これで、明日は首位を行く片山選手とのペアリングで最終組。「緊張するかもしれないけれど、最高な気分です。明日も我慢のゴルフで行きます。ガマンする心は結婚して覚えたのかも?」と周囲を笑わせた。
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