大会2年ぶり3度目の優勝。アマの最高峰日本アマチュアはじめ日本オープン、日本プロなど日本と名のつくメジャー8冠の中嶋が、通算18勝目をこともなげに手に入れた。6打差のリードを守り切っての大差の優勝は、誰の目にも楽勝と映った。しかし、中島は「とんでもない」と全力で戦った18ホールを振り返った。「大差のゴルフ、守りのゴルフが一番難しい。6打なんて3つのボギーと3つのバーディーで差がなくなる。夕べなど悪い思いばかりが思い起こされて朝までいやだった」
1番ホール・パー5で湯原がバーディーで5打差、以後こう着状態、9番ホールはボギーとボギー、11番ホールも湯原がボギーとしたあと3パットと調子を合せ
ていた。「16番ホールまで7打差」と決めて粘るゴルフを心がけたという。12番ホール、初バーディーが来る。85ヤードの第3打目、もっとも得意なサンドウエッジのショットが1メートルにつくバーディーで14アンダーパー。14番ホール・3番ウッドでフェアウエーに運び9番アイアンを1メートル半につけるバーディーと調子に乗った。スタート時の15アンダーパー、その時点で7打差がついたとき中嶋は「勝利を確信した」のだった。
「いい勝ち方だね。大差のときは前を向く。接戦では自分のゴルフに徹する」長いキャリアの中で身につけた“戦陣訓”を貫けた、と胸を張った。接戦ではメリハリをつけ攻めのゴルフをしなければならないが、今回のような大差リードこそ前向きが必要という。前日、20アンダーパーを目標にしたのはスコアを求めて前を向いたゴルフをしたい、そんな思惑だったが、「きちんとできたね」読みもたしかだが、実行力もさすがだった。
シニアになって4勝すべて公式戦。メジャーに強い中嶋の真骨頂ガぞんぶんに出た一人舞台だった。「ムキになれる。好きだね」オープン競技のタフさ、ナショナルオープンの重さが自然と闘争心、我慢や挑戦、パワーとなるのだという。「前週の日本オープン(福岡・古賀)で拷問のような難ホールで苦しんだ。背中は痛いしそういう中でやれたのは、経験だよ」54歳は自信を上乗せしちょっぴり自慢して見せた。
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