「優勝したいです」首位の松山英樹と1打差の3アンダーパー2位タイで第1ラウンドを終えた加藤龍太郎(岡山県作陽高校1年)は、力強くそう言い切った。
この日の加藤は、「ティーショットもアイアンショットも良かった」という通り、スタートの1番でセカンドショットを1メートルにつけてバーディ発進を決めると、5番ではバンカーからの3打目を2メートルに寄せてバーディ。前半を2アンダーパーで折り返す。後半も14番で30ヤードのアプローチを50センチに寄せてスコアを伸ばすと、17番では残り80ヤードをサンドウェッジで1メートルにつけて、この日4つ目のバーディーを決めてみせた。このままのスコアでホールアウトしたい
加藤だったが最終18番で落とし穴が待っていた。グリーン手前からのアプローチを4メートルと寄せ切れなかった加藤は、このパーパットを決められず、痛恨のボギー。首位スタートを目前にしながら、最後の最後に悔いが残るプレーをしてしまった。「最後のボギーが痛かった。それまでノーボギーで耐えていたのに、簡単なところからボギーを打ってしまった」と唇をかむ。
加藤は2007年に発足したチームジャパン・ジュニアに1期生として選考されて以来、本年まで3年間連続でメンバーとして活動を続けてきた。ショットメイキングとアプローチに技術に非凡な才能を持つ加藤だが、筋力では見劣りがしていた。チームジャパン・ジュニアでは、筋力トレーニングを中心としたメニューに取り組み体力もつき始め、持ち前の柔軟性もあって、メンバー中でも随一の身体に成長してきた。その努力が報われ、今年の世界ジュニアゴルフ選手権に初出場を果たした加藤。ひそかな自信を胸に世界の舞台に踊り出たが、それは霧散した。世界のトップレベルのアプローチとショットの技術。なによりも体格と飛距離の違いは、加藤の想像を超えるものだった。「海外の選手との飛距離の差を感じたし、スコアのまとめ方、アプローチやパターも違うと感じました」世界を経験した加藤は、体力トレーニングに取り組む姿勢も変化している。今では、試合中でもトレーニングを欠かさず、更なる飛距離アップを目論んでいる。努力し続ける才能を持つ者だけが、頂点にたどり着ける。強い気持ちを持った加藤がどのようなプレーでそれを表現してくれるのか、明日が楽しみだ。
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