日本ジュニアゴルフ選手権競技には12~14の部から5年連続出場の森。福井工大附属福井高校3年生で、今年が最後の大会になる。177センチの長身から繰り出されるドローボールは迫力がある。最も距離の長い14番のパー5(595ヤード)でも、果敢に2オンを狙う。攻めのゴルフが身上だ。第1日は5バーディ、2ボギーという内訳で3アンダーパーの68とスコアをまとめた。実は、この好スコアの中にOBが一発隠されている。
10番からのスタートで迎えた14ホール目の5番パー5(535ヤード)である。ティーショットは、狙い通りフェアウェーのセンターに。第2打の残り距離は240ヤード。得意の2番アイアンで2オンを狙
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った。このショットがOBゾーンに飛び込んでいってしまったのだ。ドロップしての4打目。もちろんOBにひるむことなくグリーンを狙った。わずかにそれてバンカーへ。ピンまで10ヤード。このバンカーショットが、秀逸だった。柔らかく上げて、ピンの1メートルほど手前に落下させた。スピンの効いたボールは、ゆっくり転がって、そのままカップに沈んだ。これが、5打目だった。そう、OBを打ちながら、パーで切り抜けてしまったのである。
ラウンド中、同じ組でプレーする高田聖斗(水城高3年)と、ときどき会話を交わすシーンがあった。何を話していたのか?
「二人とも3年生で、これが最後の日本ジュニアだから、精一杯試合を楽しみ、自分たちのゴルフを展開させようぜ、とそんなことを話していました。3日目に、順位に目がいくようになれば、楽しむだけでは済まないと思いますが、2日目までは、結果を考えずに自分のプレーに徹する。二人とも同じ気持ちでいることを知って、つい話がはずんでしまいました」
その高田は、昨年大会で初日にコースレコードをマークしながらも3位タイ。その雪辱を期してはいるのだろうが、第1日は、おくびにも出さず、ときに笑顔を浮かべながら71にまとめてきた。こちらも、確かに楽しそうなプレーを展開していた。
ところで、森といえば、妹の美穂(福井工大附属福井高2年)も、大会2日目からの女子15~17歳の部に出場する。こちらも優勝候補のひとりにその名を挙げられている。兄妹同時優勝? そんな話題も聞こえ始めている。
「もう少しパットが決まってくれたら…。チャンスをずいぶん逃しましたから。狙ったところには打てているので、その面でも2日目から、もうひとつ楽しみが増えればいいなって、これじゃあ、いい気になりすぎですよね。でも、結果を気にせず、突っ走れるだけ突っ走りたいですね」
笑顔が絶えない。心の底から最後の大会を楽しんでいるようだった。
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