「優勝できたことはうれしいのですけど、ゴルフの内容は悔しさばかりが残りました」
2日間67のスコアを並べて8アンダーパーと突っ走っていた松山英樹(明徳義塾高3年)。第3ラウンドのスタート前練習でも、ファインショットを連発していた。「自分の弾道を目で追いながら、今日はいくつまでスコアを伸ばせるのかなぁ…なんて、能天気なことを考えていました。ええ、絶好調だったですから」
1番ティーインググランドに立った瞬間、リラックス状態は、消し飛んでしまった。「昨年も、最終ラウンド最終組でのラウンドでしたが、上がいましたから、追いかけるだけで緊張はしませんでした。でも、今回は、同じ状況ですが、自分がトッ
|
|
プなんですよね。それを思ったら、突然、緊張してきて…」練習場では、あれほど当たりまくっていたショットが曲がる。ラフからのショットもグリーンをとらえられず、アプローチショットも寄らず。ボギーのスタートとなってしまった。続く2番も右ラフ。ここはサンドウェッジで7メートルに乗せ、バーディを奪ったが、3番でまたボギー。今度は左ラフに打ち込んだ。
「右にも左にも曲がるんで、制御不能状態になってしまいました」それでも、そこから8番までは、しぶとくパーを重ねた。そして迎えた9番パー5。林からラフ、ラフからラフと渡り歩いて4オン。しかも3パットでダブルボギーとスコアを大きく乱した。同じ最終組の森博貴とのスタート時の7打差は、この時点で2打差にまで縮まっていた。さらに、森は10番でもバーディを奪って、ついに1打差にまで詰め寄ってきた。
「追い詰められました。でも、ここで焦ったら自滅していきそうだったので、我慢のゴルフを続けるしかないと思いました。とにかく、ラフからでもグリーンに乗せようとせず、近くまでもっていってアプローチとパットでしのぐ。その覚悟を決めたんです」
16番までパーが続いた。逆に森は積極策がウラ目に。特に14番パー5のダブルボギーが致命傷になってしまった。
しのいでいた松山に久々のチャンスが訪れた。距離の短い17番パー4。第2打を1.5メートルにつけるバーディで突き放した。07年大会で優勝している石川遼とは同年齢だ。「彼はプロ。僕は、まだアマチュアとして競技を続け、もっと力をつけてからいずれ同じ土俵に上がりたいと思っています。人それぞれですから」
この優勝で松山には、パナソニックオープン、マイナビABCチャンピオンシップへの出場権が与えられる。昨年の世界アマ代表の資格で日本オープンゴルフ選手権競技への出場も決まっている。プロとアマ。立場は違うが、同世代対決の序章は、すぐにでも始まりそうだ。
|