2アンダーパーと好位置での発進となった石川。プレジデンツカップからのトンボ返りでの出場にも「体調は、自分が考えていた以上にいいですし、時差ボケもありません」ということで、大ギャラリーを引き連れて気持ちよさそうにプレーを続けていた。
そのギャラリーから驚きの声があがったのは、15番ホールだった。372ヤードと距離の短いパー4。得意のドライバーでグリーン近くまでぶっ飛ばすのでは…という期待は、裏切られることになった。石川が手にしたのはアイアン(3番)だった。昨年大会で、4日間すべてドライバーで攻め続けた。今大会も、同じ戦術で臨むものと思ったのだが、違っていた。左ドッグレッグで林の上へと打ち抜いて
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いった3番アイアンでのショットは、コーナーのバンカーにつかまった。そこから136ヤードを9番アイアンでピン横4メートルに。このパットを決めて2アンダーパーにした。なぜ、本来の攻め方を変えたのか。
ティインググラウンドに立ち、ホールロケーションを確かめたときに、アイアンでのティショットを決めたという。
「ホールロケーションが手前エッジに近いところだったので、あまりグリーンに近づきすぎても寄せにくいし、ラフに入れたら、それもまた寄せにくい。240ヤード地点のエリアは狭いのですが、5番ウッドではラフまで突き抜けてしまう。フェアウェイに止めやすく、次のショットで手前のピンを攻めやすい距離を残すという意味でも、最良の選択だったと思います」
結果は、狙いよりもやや左に飛びだしてのバンカー。そして、このバンカーからバーディーチャンスにつけた。結果よければ…の類なのか。石川は、きっぱりと否定した。
「確かに、昨年までの僕なら、アイアンを手にしてミスしたら、“やっぱりドライバーで思い切って打ってしまった方がよかった”と考えて、アイアンの選択を悔やむところだったと思います。でも、何度か痛い目にあい、何度か刻んでもバーディーがとれることも経験して、クラブ選択に明確な根拠を持てるようになりました。刻んで攻める。これも、ありなんだと思えるようになったのです」
この15番ホールで、明日以降もアイアンでティショットするのだろうか。石川は「状況次第で」という条件をつけた。
「例えば、ホールロケーションがグリーンの奥であれば、アプローチショットでボールが転がっても寄せられるので、ドライバーでグリーン近くまで飛ばす方法を選択することになります」
しきりに「状況」という言葉が出てくる。つまり、状況に応じた手を選べるわけで、それだけ石川の引き出しが増えたことを物語っている。
「練習ラウンドでは優勝ラインは5アンダーパーぐらいかな…と思っていましたが、上方修正しなければいけないかもしれません。10アンダーパーでしょうか。そのくらいのつもりで、プレーしていける気にさせてもらいました。2アンダーパーは、申し分のないスタートだと思っていますし、内容の濃いゴルフだったという自負があります。自分に期待してもよさそうな雰囲気を作れたと思います」
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