7バーディー・ノーボギーの7アンダーパー65。石川遼が、第3ラウンドに大爆発した。64は、従来のコースレコードである67(1973年関東オープンの菊地勝司がマークした67)を更新するニューレコード。前日の38位タイから一気に単独首位に浮上した。
圧巻は6番(パー5)だった。ドライバーでのティショットが右に飛び出し、池に飛び込んでしまった。ボールが横切ったハザードとの境界線を見てから歩き出した石川は、こんなことを考えていたという。
「もう少し左から池に入ったのならフェアウェイにドロップできるけど、僕の球が横切ったのは、右サイド。ラフが深いし、前方の木が邪魔になる。フェアウェイに出すしかな
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いか…」ドロップしたボールのライは、想像していたほど悪くはなかった。芝生は長かったが倒れていて、しかも左足上がり。石川は5番ウッドを手にした。
「ボールは上がりやすいライだったので、あのクラブでも前方の木を越えていけると判断しました。距離的にも、うまくすれば届くところだったので、いいスウィングでいいショットを打とうと、それだけ意識して打ちました」
このショットがグリーンをとらえる。しかもホール手前3メートル。これを沈めて…。池に打ち込みながら、なんとバーディーであがってしまったのだ。もし、石川が、今大会を制するようなら、今日の、このホールのプレーは語り草になるだろう。
疲れが見えていた前日とは、ショットの精度が違っていた。池に打ち込んだ6番、バンカーの縁に曲げた8番(このホールも、いったんフェアウェイに戻した後の第3打、90ヤードを1メートルに寄せてパーをセーブした)以外は、ほとんどフェアウェイをキープし、そこからグリーンを狙うショットもパッティングを決めやすいラインになるポジションに乗せていた。実は、昨日のラウンド終了後、練習場でスウィング調整に取り組んでいた。テーマは「タイガーやミケルソンのように」であった。
ノーザントラスト・オープンの練習場でミケルソンのスウィング、ショットをじっと観察した。「自分と、何かが違う。そのときは、そう感じただけだったのですが、その後タイガーと一緒にラウンドする機会(全英オープン)やプレジデンツカップのドライビングレンジで世界の一流選手たちのスウィングを見て、はっきりと違いがわかりました。特にタイガーのスウィングを背中側から見て、自分も、そうしていきたいと思うようになっていました」
具体的に、どこが違っていたのだろう。
「タイガーもミケルソンも下半身の動き、ターンが終わっているのに、まだインパクトになっていない。イメージとしては、体のターンが終わってからボールが打ち出されてくるように見えるんです。僕の場合、ある程度はターンが先行しますが、インパクトのタイミングが早くて、ボールを当てて終わりというか、球離れが早いというか。その分弾道も軽くなり、しっかりとラインに打ち出す確率が低いのだと思いました。だから、昨日の練習では、タイガーやミケルソンのように、レイトヒットできるように調整しました。そして、ある程度納得できる動きができるようになりました」
イメージは、タイガーやミケルソンのインパクトタイミング。第3ラウンドは、それを意識してのプレーだった。
単独トップに立ったこの日も、ラウンド後は練習場へ。目に焼き付いているタイミングと、自分の中でつかんだ感覚。それをさらに鮮明にするための練習であった。
「最終ラウンドは、今日みたいにスコアは伸ばせないと思います。でも、もっとゴルフ、スウィングのレベルを高める余地もある。だから、いいスコアを意識するのではなく、いいスウィング、いいゴルフをしようと思います」
最終ラウンド、最終組でのプレーになる。最年少優勝記録更新なるか。
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