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競技報告
【史上2人目の日本アマと日本ミッドアマ2冠達成の藤田大】
第3日 競技報告:JGA 写真:JGA
「2日間プレーしてみて、このコースはバーディが出ない。我慢の1日になると覚悟して、目標はパープレー。それで優勝できなければ、仕方ない」と思って最終ラウンドをティオフしていった首位タイスタートの藤田大。1番、左ファーストカットからの3打目は、藤田にしては珍しくグリーン奥のピンを攻めて、ピンハイに打ってきた。「出だしから守りに入ることはしたくなかった」という藤田。積極果敢な攻めに見えるこのショットだが、「今日のホールロケーションなら、グリーンを外しても、アプローチは寄せやすい」という冷静な判断から放たれていた。このショットは惜しくもグリーン左のカラーに外れたが、計算通り無難にパーをセーブしてみせた
。いきなりのピンチは2番。「風と距離を読み間違えた」2打目はグリーン左手前のバンカーに。3打目も寄せきれずボギーが先行して小川に1打リードを許す。この時、藤田の胸に去来したのは、リードを許した焦りではなく、「試合のときに、こういうミスは得てして起こるもの。これまで自分は、こういうミスの後に集中を切らしてしまって、自滅してきた」自分の姿だった。同じ轍を踏みたくない…藤田はもう一度、集中力を研ぎ澄ませてプレーを続ける。4番で再びボギーを叩いても、表情一つ変えない藤田。6番でティショットを2.5メートルにつけてこの日初バーディを奪うも、直後の7番でセカンドショットをミスしてグリーン左のラフに。10ヤード以上の打ち上げとなるこのアプローチを寄せきれず、3つ目のボギー。この時点で藤田は、「前半はこのまま、2オーバーでホールアウトしようと心に決めた」という。それが8番で80センチにつけるスーパーショットを見せたが、このパットを決めきれないもどかしい展開でも自分を見失わない糧になっていた。

前半を終えて通算3オーバーパーで最終組の3人が首位タイに並ぶ混戦にも、藤田は自分を失わない。その藤田が唯一感情をあらわにしたのが11番だった。「完璧なショット」と自画自賛する185ヤードから5番アイアンで放たれたショットは、ピン手前の段を駆け上がり、2.5メートルにナイスオン。「このホールを取れれば波に乗れる」と気合を入れて打ったパットは、ホールの左側をすり抜けた。その瞬間、小さく息を吐き出しながら、悔しがった藤田。このまま試合の行方はこう着状態に陥るかと思われたが、ここから藤田の真骨頂が発揮される。「ゴルフは波があるスポーツです。その波を自分で作ることが出来ることもあれば、じっと波を待っていないといけないときもある。今日の自分は、ショットが悪くなかったので、ジッと待っていれば、いつかはチャンスが来る」と、自分を落ち着かせるとともに、「14番から17番は、すごく相性がいいんです。この4ホールで必ず1つはバーディが獲れる。不思議とそういう確信があった」その言葉通り、15番では、「この日11番のセカンドショットに次いで良かった」というサンドウェッジの2打目を50センチにつけてバーディ。16番ではティショットを左に曲げるミスで、あわやボギーのピンチを迎えるが、「ここで、守りに入っても仕方がない。今日は自分の日だと小さくつぶやきながら」プレーを続けた藤田はしぶとくバーをセーブして、17番もバーディを奪って食い下がる後続を振り切った。

2002年の日本アマに優勝した時には、勢いもあったし、注目も集めた。しかし、日本アマチャンピオンの称号と引き換えに「日本一のゴルファーとして恥ずかしくないプレーをしなければ」という呪縛に囚われ、ここ数年は自分自身も不甲斐ない思いもしてきたという。2年前には日本アマ歴代優勝者に与えられる5年間の出場資格を失い、関東アマからの出場を余儀なくされたが、ここで藤田は、「シードが失って日本アマに出場できなくなったら、やはり藤田はフロックだったと言われてしまう。だからこそ、関東アマで頑張れたし、日本アマに出場し続けることの大切さを実感した」と、一皮剥けた。ここから藤田は自分のゴルフを見つめなおし、スウィング改造に着手し肉体改造にも取り組んだ。「社会人になって、それらしいプレーというものがあるといわれている。でも、僕は大学生のようなプレーで優勝したい。飛距離でも大学生に負けたくないし、内容ももちろん」と、研究に研究を重ねてきた。そして、今年の関東アマの最終ラウンドに自分が納得いくプレーをして自信を掴んで、本選手権に「自分としては珍しく」優勝を目標に乗り込み、はたしてその通りの結果を得た。日本アマと日本ミッドアマの2冠は和田博に続き2人目の快挙。それでも「まだまだミスは多いし、新しいスウィングは未完成です」と話す藤田の視線の先には何を見ているのか。「世界アマに出場したいんです。世界の舞台を経験したい。国際的な選手とプレーして、自分との違いを実感して、自分がそこで何を感じるか。日本アマに優勝したときにも世界アマには出場しましたが、現在の自分が世界最高の舞台で何を感じるか…」成長へのあくなき欲望。この純粋な欲望が藤田の強さの秘訣かもしれない。

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