2010年度(第43回)日本女子オープンゴルフ選手権競技
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Championship Reports
競技報告
【スウィング矯正が好スコアに繋がった宮里美香】
第2日 競技報告:三田村昌鳳    写真:G.Kobayashi /Y. Watanabe
宮里美香が、5連続バーディを含む7バーディ・2ボギーの67を出して、2位の有村智恵に5打差をつけて首位を独走した。そのスコアを聞いて有村は「確かに、それだけの凄いスコアを出している選手がいるのだから、出せないコースコンディションではない、と思うけれど…」と、言葉が止った。つまり、出せないスコアではないけど、自分では出し切れないもどかしさがある。有村に限らず、どの選手も「流れ」に乗り切れない。それもそのはずで、中途半端なゲームになってしまう選手、肝心なところで、ケアレスミスをしてしまう選手に対しては、流れに乗せないシビアなセッティング。それがメジャー設定であるのだろう。

「今日は、ショット
の調子が良く、スウィングしていても、よく体が切れていました。ですから、朝から、あ、今日はいい感じでプレーできそうという気持ちはありました」と宮里美香は言う。もともと「ラフに入ったら1打罰と、はっきり決めていましたから、それがパーに繋がってくれたホールもいくつかあります」しっかりと自分の中で、そういう状況のメリハリ。無理せず、心の動揺を最小限にとどめて、その1打を放つという心構えが、いい結果を生みやすくするのも確かだ。

前半、1番ホールでいきなりバーディ。5番ホールでもバーディ。9、10番ホールでボギーとしたものの、宮里は、ボギーに動揺することなく、穏やかに受け止めていた。

そういう精神状態を支えていたのは、アイアンショットが好調で「よく切れていた」という切れ味だった。

昨年、シーズンを終えて、宮里は、フロリダ州にある「IMGアカデミー」(ゴルフスクール)に戻り、スイングの修正に着手した。大きなポイントは、トップの位置である。彼女の癖で、どうしてもオーバースウィングになってしまうトップを、コンパクトにして、その緩みをなくすことだった。
「アイアンの精度が、ほんとによくなりました」というように、見事に決まるコンパクトなトップ位置から切り返してくるスウィングに、安定感か増してきたのである。特に、プレッシャーがかかっているショットのときに、このオフのスウィング修正の効果は絶大だった。

今季、米ツアーのP&Gアーカンソー選手権で、自己最高の3位に入るなど、安定した成績を残した。

9、10番ホールをボギーにしてから、宮里のプレーにギアシフトが、いきなりトップに変わった。12番、2メートル。13番、1.5メートル。14番、3メートル。15番、1.5メートル。16番、3~4メートル。「あっという間に通り過ぎた感じでした。5連続バーディも初めてなら、9ホールで9パットも初めてなんですよ」と本人がいう。宮里は、もともと爆発力のある選手だ。過去に4連続バーディを記録している。それは、2004年の世界アマチュア選手権のときである。中学3年生。初めて宮里が海外の公式戦デビューをした大会である。その第3ラウンドに4連続バーディを出している。

昨年のこの大会も、宮里美香は、今年と同じ9アンダーパーで首位に立ち、3日目に11アンダーパーとし首位で最終ラウンドを迎えていた。ところが最終ラウンドに崩れて、結果的に優勝を逃し、9位タイで終わっている。

去年も、同じ展開ですけど? という記者の質問に「うーん。また去年のことですかぁ」と、思い起こしたくない、比較したくない、できれば封印したいという語感を感じた。本人の中では、すでに封印されているのであろう。

「アメリカツアーで私はずっとやっているので、日本のみなさんに、宮里美香って、どんなゴルフをする選手、どういうプレーをする選手なのかって知って貰いたい気持ちでいっぱいです」爆発力があるけれど、粗い。そう言われてきていた。つまりメンタル面が、もっと充実すれば…という大器だったのである。とりわけ昨年、米女子ツアーに参戦して「考えすぎて、結果に繋がらない。それがストレスになったりして、そのメンタル面を強化することで、少しはよくなったのかな、と思います」と言った。

確か、全英女子オープンのときだったと思うが、ツェン・ヤニがメジャー3勝目を果たした大会。そのとき彼女のメンタルコーチが「ストロング&ハッピー バット ノット ナーバス」とアドバイスしている。

残り2日間……。いまの宮里にエールを送るとすれば、やはり同じ言葉だろう。心を強くしっかり持ち、豊かさを忘れないで愉しく。でも、神経質になりすぎないようにプレーしてね!

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