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【宮里美香は明日、成長した姿を見せられるか】 |
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第3日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:G.Kobayashi /Y. Watanabe |
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宮里美香は、ラウンド中、集中力が切れているわけではないのに、どこか釈然としないというか、気持ちが決然としない自分がいるような気がしていたに違いない。「今日は、こんな日なのかなぁ」と思ったという。確かに、一時は12アンダーパーと突っ走り、2位の宮里藍と7ストロークも差をつけるゲームをしていた。独走…。きっと首位の宮里美香は、気持ちよくプレーしているのだろう、と外側からは見えていた。確かに、アウトの2番ホールでバーディをとり、7番ホールでは、チップインのバーディと、余裕すら感じていた。けれども、本人の心境は、少し違っていた。
「攻め切れていない自分に気がついた」と振り返る。その顕著なケースが
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、16番ホールだった。155ヤード、パー3。そこで宮里は、クラブ選択に一瞬迷った。5番アイアンで抑えて打つか、6番アイアンでしっかり打つかである。「結局、5番アイアンで打ったのですけど…」ボールは、ショットが緩んでグリーンの右端に乗った。結局、そこから3パットのボギーとした。
「昨日と比べて、ショットの距離が昨日ほど飛んでいなかったんです。もっと飛んでもいいはずなのに、それを考えれば、アグレッシブさに欠けていたということだと思います」
昨日のパット数は、アウト17パット。インは、9パット。今日は、アウト15パットだけれど、インに入って17パットもしている。3日間で見ると、第1ラウンドが25パット。第2ラウンドが26パット。そして第3ラウンドが、32パットとかなり多い。今日だけで、5位タイの9人の選手と、パット数だけを比較すると、宮里藍が27パットでトップ。宮里美香は、有村智恵と並ぶ32パットで、最下位なのである。
選手が、いちばん嫌がるのは、ショットが結果的に曲がっても「それは自分の悪い癖だったりですから、どうすればいいのか、十分解っているんですよ」という。でも、どんな気持ちでその1打を打てたか、それが大事なことで、気持ちが攻めきれないまま打ってしまったりするのを嫌う。この日の宮里美香は、まさにそのアグレッシブさが足りなかったと反省していた。
それは、大差がついているからではない。彼女は、ラウンド中、リーダーボードを一度も見ていなかった。リーダーボードを見ながら、それに応じてどう対処するというのは、レアなケースである。誰が、どうであれ、18ホールどこまで、自分が納得のいくゴルフができるかなのだ。
宮里は、メンタルコーチから、常々「エンジョイしなさい」と言われるという。この場合のエンジョイというニュアンスの中には、気持ちを緩めないで、ほどよく緊張をほどいて、1打集中とのギアの切り替えをうまくしなさいという意味があるのだろう。彼女は、ときおりキャディとゴルフに無関係な会話をしながら、心のゆとりを持ちながらプレーしていたという。「そのほうが、1打の集中がちゃんとできる」からである。
いつだったか青木功に「今日はゴルフを楽しんでくる」というのは、どういう意味か聞いたことがある。そのとき青木は「成績とかなんだとか関係なく、最後まで、自分のゴルフをやり通せたときに、楽しめたというんだ。だから、楽しんでくるというのは、最後まで諦めないということなんだよ」と説明してくれた。
奇しくも、最終ラウンドを前にして2位と4打差も昨年と同じシチュエーションである。彼女は、それをマイナス志向で考えていなかった。「逆に、同じシチュエーションって、凄くないですか?」と切り返した。
けれども、宮里は、この1年間で大きく変わった。
去年は去年で、いい経験をしました。でも、今年は、新しい自分をつくろうと思ってやっていますので、1打に集中したら結果はついてくると思うし、自信を持ってやっていきたいと思っています」
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