2010年度(第43回)日本女子オープンゴルフ選手権競技
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Championship Reports
競技報告
【宮里美香が昨年のリベンジを果たして完全優勝】
第4日 競技報告:塩原義雄    写真:G.Kobayashi /Y. Watanabe
強かった。ゆるぎなかった。宮里美香が第1日からトップを走り続け、通算12アンダーパー、2位に6打差をつけてプロ初優勝を果たした。

2位に5打差をつけて迎えた最終ラウンド。これは、昨年大会とまったく同じシチュエーションだった。その昨年は、78と大きくスコアを崩し、自滅の恰好で6位タイに終わっている。

今大会では、「新しい自分を見てもらいたい」と言い続けてきた。スタート前の練習場にいるうちから、リラックスしていた。「これなら、きのうまでと同じ気持ちでプレーできるな…」と、そんな自己分析もしている。スウィングの手応え、ショットの精度にも、不安材料はなかった。「だから、本当になんら緊張する
こともなくスタートすることができましたし、自分のゴルフに集中できました」

3番までパー。穏やかなスタートだった。そして、4番パー3ホール、5番ウッドのショットを1メートルにつけてバーディを先行させた。6番パー3では10メートル近いスライスラインのパットがカップに飛び込んだ。これで通算10アンダーパー。ハーフターン後も、確実にフェアウェイに打ち出し、グリーンをとらえていった。いわゆる、ショットを置きにいくのではなく、実に伸び伸びと振り切っていた。前の組をいく佐伯三貴が7アンダーパーまでスコアを伸ばしてきた。3打差。宮里は、知らなかったし、知ろうともしていなかった。

「今日は、とにかく、1打に集中する。それを18ホールやり通せば結果はついてくる。そう思っていたし、集中もできていたので、スコアボードも一度も見ませんでした」そして、13番からの3連続バーディで初優勝を決定的にした。自分で、それを確認したのは18番ホールにきたときだった。「6打差? そんなについていたんだ…って感じでした。全然実感がなくて」

グリーンサイドには、宮里藍が勝者を祝福しようと待ち構えていた。「よく頑張ったね、おめでとう」抱きしめられたら、感情が押し寄せてきて、二人で涙にくれた。昨年と、どこが違っているのか。どう成長しているのか。宮里は、フィジカル、メンタル、テクニカル全ての面での成長に自身への信用度を高めていた。

フィジカル面。ホームタウンにしているフロリダ州にいるときは、トレーニングコーチとマンツーマンで週に4回のペースで上半身強化に励んだ。トレーニングコーチからは「下半身の強さと比べて上半身が弱いから、重点的に鍛えるメニューに取り組んだ方がいい」とアドバイスされ、その方法も教えられたという。

メンタル面。こちらは、メンタルコーチとの対話で、どういう精神状態で戦えばいいのか。どんな思いで1打に集中すればいいのか、その方法は…etc。USLPGAツアーでの戦いを通じて自分で学んだこともある。「あちらのツアーの選手たちのプレーを見ていると、多くの選手が、自分のショットにどれだけ自信を持っているんだろう、と驚かされるくらい積極的にピンを攻めている。自分も、ああいう強い気持ちでプレーしなければいけないし、できるようにならなければいけない。それが大きなテーマになっていました」

「エンジョイ ゴルフ」メンタルコーチにアドバイスされたことだ。どうすれば、戦いを、プレーを楽しむことができるのか。自分に自信を持つ。自身への信頼を深める。そのためには、実に多くの要素の積み重ねが必要なのだということがわかった。

上半身強化を図ったトレーニング効果は、テクニカルの面に反映された。以前よりコンパクトなトップスウィングに修正できたし、さらにそのトップスウィングから80%のパワー、スピードで打っているのに、飛距離はドライバーショットで10ヤード以上飛ぶようになっていた。アプローチショットにも効果は及んだ。バリエーションが増えたのはもちろんのこと、その上で深いラフにも当たり負けせずにコントロールできるようになった。

そうした自信が、アグレッシブなゴルフの裏付けになり、自信を深めさせる。日本に戻る前の9月、アーカンソー選手権の最終ラウンドにアグレッシブさを徹底した。結果は64の大爆発で米女子ツアー自己最高の3位に躍り上がっていた。このときのゴルフ、スコアも、今大会への弾みになっているという。

自分のショット、ゴルフに自信を持って1打に集中する。それを18ホール続ける。「あっという間の18ホールで、本当に余計なことを考えることもありませんでした」これこそが、「エンジョイ ゴルフ」であったに違いない。今後の目標は「とにかくUSLPGAツアーで1勝すること。それが最優先テーマです。その後のことは、それから考えます」


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