第1ラウンドで最大のギャラリーを惹きつけのは第25組だった。午前11時36分、1番ホールからスタートしていった松山英樹、石川遼、ブレンダン・ジョーンズの組である。
先のアジアアマチュア選手権で優勝し、来年のマスターズ出場を決めた松山は、石川と同じ年の生まれだ。中学生時代にジュニア競技で1度同じ組でラウンドしたことがあるという。それ以来の同組対決となったわけだが、両選手は、お互いのことをよく覚えていた。
「遼は、とにかくクラブを速く振るということにかけては、凄い才能を持った選手でしたね」(松山)
「英樹は長身を生かしたスウィングで、ドライバーショットの安定性が抜群でした」(石川)
お互い
を「遼」「英樹」と名前で呼び合う。
大学1年生(東北福祉大)になった松山の身長は180センチ。朝一番のスタートでフェアウェイど真ん中にビッグドライブを打ち出していった。このショットに石川は「度肝を抜かれました」と、脱帽した。
お互いに1アンダーパーでフロントナインを終えたあと、10番でともにボギー、石川は11番も3パットで連続ボギーと小休止をはさんで爆発していった。石川が12、13番と連続バーディを奪えば、松山は13番からなんと4連続バーディ。圧巻は石川の15番ホール、松山の16番ホールだった。
07年の日本アマ。石川は、この愛知カンツリー倶楽部の15番で撃沈した。ティーショットをグリーン右手前の池に打ち込んで予選落ちを屈した苦い思い出がある。それから3年。その15番パー4であのときと同様にドライバーを使ってワンオンを果たして見せた。それも「高さを出して止める。いつものドライバーショットが8、9割のスピードであるとしたら、7割のスピードでしっかりラインを出しながら高い弾道になるように打った」というハイレベルな技術でのワンオンだった。2パットで楽々バーディであった。
松山は、このホール、3番ウッドでティーショットしたあと、ピンまで25ヤードのアプローチショットを寄せてバーディとしている。そして、続く16番パー3(222ヤード)では4番アイアンでピンに一直線のショットを打ち出した。あわやホールインワン。ボールはカップの縁に止まった。
第1ラウンドは、ともに3アンダーパー4位タイでのホールアウトとなった。石川は、いう。
「英樹が、本当にいいプレーをしていたので、それに僕が引っ張られた格好になりました。アマチュアというより、プレーヤーという感覚でプレーを見ていましたけど、アプローチショット、ドライバーショットで、今の自分にはできないかもしれない…と思わされるプレーがありました」
一方の松山は、石川との同組ラウンドの感想を、こう語っていた。
「同学年といっても、遼は賞金王、自分はアマチュアですから差を感じさせられるシーンが何度もありました。自分に足りないものを持っています。例えばドライバーの飛距離。僕は10ヤードから15ヤードおいていかれます。筋力が違いますね。パッティングの正確なストロークも参考にしたいと思いました」
この二人、第2日も同じ組でのラウンドとなる。第2幕は、どんな展開が待っているのか。
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