通算10アンダーパーで全体の3位タイ。最終ラウンドもスコアを3打伸ばした松山英樹がローアマチュアを獲得した。6番ホールまでに3バーディ。この時点でトップに1打差まで詰め寄っていた。
「優勝を意識することはなかったけど、1打差とわかったところから流れが悪くなってしまいました。でも、最終ホールをバーディで締めくくれたので、大満足の4日間でした」
その最終18番。ティーショットを右ラフに打ち込んだあとの第2打が圧巻だった。ピンまでやや上りになる204ヤードを7番アイアンで攻め切った。フライヤーになることも計算してのフルスウィングだった。このショットがピン奥2メートルについた。バーディパット。
アドレスする前に松山は、こんなことを考えていたという。
「セカンドショットが会心の当たりでカッコよかっただけに、このパットをはずしたら恥ずかしいな…なんて思っていたんです。だから、真剣にラインを読んで、しっかりヒットすると自分に言い聞かせました」
最後のバーディで通算10アンダーパーでのホールアウト。松山が振り返る思いは、この日本オープンだけにとどまらなかった。前週のアジアアマチュア選手権からの激動の2週間。「本当に、凄い2週間でした。終わった。そういう感じです」
日本人のアマチュアとしてマスターズ初出場が決まり、日本オープンでは主役のひとりとして注目を浴び続けた。松山英樹の名前は、この2週間で、間違いなく全国区となった。マスターズ後にはプロ転向を考えているのでは…。インタビューで、そこに水を向けられた松山は、即答した。
「いえ、僕は、まだまだアマチュアで勉強しなくてはならないことがあります。周りの反応ですか? それはわかりませんけど、自分は変わりたくないし、変わりません。監督、コーチはじめお世話になっている方々への感謝の気持ち、友達とか、先輩、後輩との関係を大切にしながら、今は、普通の生活に戻りたい、というのが本音です」
11月には大学の団体戦がある。東北福祉大チームの一員として「優勝できるように、チームのために頑張ります」それが、この後の最大目標だといった。18歳の松山に、驕りはかけらも見られなかった。
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