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【室田淳がティーショットに苦しみながらも首位キープ】 |
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第3日
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競技報告:塩原義雄 写真:Gary Kobayashi |
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ホールアウトした室田淳は、キャディーに何事かを指示すると、いったんクラブハウスでのプレスインタビューの席に足を向けた。第3ラウンドは2バーディ・2ボギーの72。ブーンチュ・ルアンキットに並ばれたとはいえ、ここまでの3日間、トーナメントリーダーの座は明け渡していない。最終ラウンドまで居座り続けることができるのか。
「わからない。精神的にも、スウィング的にも、やっぱり、問題を抱えたままだからね。もちろん、精一杯やるけど、手応えというか、もうひとつ自信を持てないんだよね。今日は、昨日につづいてフェアウェイにいったのは2回だけ。明日は0回でしょう。全部右にプッシュしてしまう。原因は、わからない。
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ラウンド中は、怖くて直せない。こんなんじゃプロとは言えないね」
そんなインタビューが始まった頃、キャディーはドライビングレンジへと足を運んでいた。室田からの指示は、そのことだった。インタビューを早々に切り上げた室田が、そこに姿を見せた。いきなり手にしたのがドライバー。テンポよく、打ち続ける。しかも、フルスウィングだ。
距離が長いパー4の17番ホール。ここで室田はフルスウィングして狭いファエウェイをとらえた。18番は3番ウッドで右ラフ。コントロールを考えて打ったホールは、ことごとくラフに打ち込んでいた。そこで、ホールアウトした室田の中に残ったのが、17番で思い切りよく打ったときのドライバーショットの感覚だった。だから、それをすぐにでも確認しておきたかったのだろう。ラウンド中にときどき見せていたフォロースルーでの早すぎるボディーアップの動きもなく、本来の前傾姿勢が崩れないままのフィニッシュにもなっていた。
打ち終わった室田に改めて聞くと、こんな答えが返ってきた。「あの17番ね。ティーショットはよかったけど、フェアウェイからの第2打が、とんでもないプッシュアウトで、まともに当たってくれなかったものね。あんなところに球が出ていくようじゃ恥ずかしい。開き直って、とにかくフルスウィング。それしかないように思えてきた。今日のショットじゃ、僕の(優勝の)目はないよ」
フェードボールから、50歳を前にしてドローボールへと飛距離を求めて持ち球を変えてきた。そして、今シーズン取り組み出したのがストレートボール打ちだった。「トーナメントプロ生活の最後はそれで勝負したいと思ってね。練習では、かなりできているのだけど、本番になるとリリースポイントがずれてしまう。スウィング調整には、もう少し時間がかかるかも…といって、そう多くの時間がのこされているわけでもないから焦るんだよ」
ところで、慌ててかけつけたドライビングレンジでの調整は?
「だから、練習では、できるんだって。本番でも同じ動きができればなあ…。だから、何も考える必要のないフルスウィングでいくしかないでしょう」
このフルスウィング戦法、最終ラウンドに吉とでるのか、凶とでるのか。本人でさえ「わからない」というのだから、推理のしようもない。
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