ホールアウト後、田辺一成(Orangewood Academy2年)は、悔しそうな表情を見せた。日本ジュニア初出場の田辺は、緊張と暑さからかスタートから鼻血を出すアクシデントに見舞われる。出だしの10番(パー5)でいきなりボギーを叩くと、12番もアプローチを寄せきれずボギー。「アクシデントもあったし、ショットも悪かった」という前半のプレーを救ったのは17番(パー3)だった。このホールで7メートルのスライスラインをねじ込んだ田辺は、「あのバーディでショットも良いイメージが出るようになって」後半に息を吹き返した。1番で左ラフから残り170ヤードのセカンドショットを「フライヤーを計算して」7番アイアンで2.5メートルにつけてバーディを奪うと、2番では、残り90ヤードを得意のウェッジでピン奥5メートルからバックスピンで10センチにつけるスーパーショットをみせて連続バーディ。5番でもスコアを伸ばした田辺は、7番でアプローチミスからボギーを叩いたものの、この日4バーディ・3ボギーの71でホールアウト。日本ジュニア初出場ながら、第1ラウンドをトップで終えた。しかし、「今日はいいペースでプレーが出来た」と話す田辺の表情は固い。「いいショットも打てたけれど、反省点もたくさんある」のがその理由。「我慢のゴルフも大切だけれど、自分のプレースタイルは攻めていくものなので」と、好スコアにもその内容に満足がいかないようだった。田辺は、8歳で「英語の勉強とゴルフのため」に自分から渡米を決心して、家族でアメリカに移り住んだという。語学と得意のウェッジに磨きをかけて臨んだ日本ジュニアで早くも実力の片鱗を見せた。「もっと、もっと良いスコアが出せた。明日は、スタートから自分がイメージしたラインにショットを打ち出せるよう、これから練習します」と言い残して、練習場に消えていった。
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