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Championship Reports
競技報告
【エースの松山は、「最後まで攻めのプレーが出来た」】
第3日 競技報告:JGA 写真:JGA
渾身の18Hティショット
Yao(左)と松山
前日に続いての最終組でのエース対決に臨んだ松山英樹。チーム優勝のためにも負けられない相手との戦いは、1番ホールで出鼻を挫かれた。

個人戦で首位を走るYaoが5メートルを決めてバーディスタートとすると、松山は80センチのバーディパットを外してしまう。Yaoはその後2連続バーディで快調にスコアを伸ばす一方で、松山は2番でグリーン左手前のアプローチを1.5メートルに寄せながらボギー。4番で2.5メートル、5番ではアプローチをOKに寄せて連続バーディを奪うものの、Yaoも6番を獲り、その差は縮まらない。それどころか、松山が7、8番で2度目の連続バーディとしたのに、Yaoはその上をいく圧巻のプレー
パットが決まらず我慢のホールが続いた
ホールアウト風景
で前半を6バーディ・ノーボギーで終える。

前半を終えて、両者の差は6ストローク。チーム戦でも日本はチャイニーズタイペイに1打差まで詰め寄られていた。「自分が短い距離のパットを外しているうちに、Yao選手がどんどんバーディを獲ってきて。精神的にやられていると…」松山は追い詰められていた。後半、Yaoのバーディラッシュが止まると、松山は12番(パー5)でバーディを奪い、両者の差はこう着状態に。その間、チーム戦では、富村の活躍で優勝へのカウントダウンが始まっていた。

「2番でボギーを打ったけれど、前半で粘り強いプレーが出来て。あれだけパットが入らない中で12番も獲れたのが大きかった」と、今になっては冷静に振り返ることも出来るが、日本代表としての優勝を目前に、松山もプレッシャーに押し潰されそうになっていたようだ。最終組が18番ホールのティーインググラウンドに上がったときには、日本とチャイニーズタイペイとは4打差。安全圏にいるとはいえ、松山は迷っていた。「もし、自分がOBを打って、Yao選手がイーグルを獲ったら…そう考えるとティーショットでドライバーを使うのか、3番アイアンで刻むのか、凄く悩みました」という。そのとき、松山の胸に去来したのは昨年大会のことだった。「あの時、自分はチームのためと思って安全策を取っていました。守りに入っていたんです。でも、その結果が19ストローク差の最下位。この1年、自分が経験してきたこと、成長した自分を信じようって」手にしたのはドライバーだった。

1年間の思いを込めた渾身のティーショットは、フェアウェイ真ん中に。弱気な自分、自問自答の末に導き出した「自分らしいプレーがチームのためになる」という答えが、結果となって現れたティーショットだった。松山は最終ホールをバーディで締めくくり、この日5アンダーパーでホールアウト。富村とともに昨年大会の雪辱を果たした。「ラウンドの途中、チームの仲間が頑張っていて、自分が足を引っ張るわけにはいかないと思っていました。ナショナルチームでのチーム優勝って初めてなんです。凄く嬉しいです」と、エースとしての責任を果たした充実感溢れる笑顔を見せた。

日本男子チームにとっては、2004年大会以来3度目の優勝。しかも、今回はホスト国以外での初優勝。アジア太平洋地区で日本の一歩先をいく韓国のホームグラウンドでの優勝で、新たな歴史を作った。それでも、松山は「韓国の選手達はパットが少し入らなかっただけで、今日の結果だって充分に逆転される可能性はありました。自分もパットを決め切れませんでしたが、これからは不調な中でも決めるべきパットをしっかり決めていかないと世界を相手には出来ないと思う」と見据える先の遥かな道のりに気を引き締めていた。


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