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競技報告
【最終ラウンドでリベンジを果たした富村は「まだまだ努力しないと」】
第3日 競技報告:JGA 写真:JGA
この2日間、スコアを伸ばせずに苦しんでいた富村真治が最終ラウンドに67をマークしてチーム優勝に貢献。富村らしからぬジャッジミスやパットの不調にあえいでいたが、首位に19打の大差をつけられて3位に終わった昨年大会のリベンジを果たした。

韓国とは同スコア、3位のチャイニーズタイペイとも3打差と大混戦で迎えた最終ラウンド。曇り空で無風の絶好のコンディションは、どれだけスコアを伸ばせるかのバーディ合戦の様相が予想された。その中で日本男子チームのトップスタートを切った富村は、2番(パー3)で「完璧な手ごたえ」のティーショットを放つ。しかし、このショットはグリーン手前の花道に止まる。ホールまでは6ヤ
好プレーのきっかけとなった
7番でのバーディ
ホールアウト風景
ード。2打目を放つ前に、富村は逡巡する。「ライもよかったし、確実にいくならパットでも良い。でも、2日間パットは全く入っていなかったから」富村が選択したのは、サンドウェッジでのアプローチショットだった。「ラインも見えていた」というこのアプローチを直接ホールに放り込むチップイン・バーディ。

幸先の良いスタートを切った富村だが、今日もパットは決められない。3番で1.5メートル、4番では2メートルのチャンスを外し、5番(パー5)では、3メートルのチャンスも「ホールにかすりもしない」状態に、「やっぱり昨日と同じで、パットは決められないのかな」と一瞬、諦めにも似た思いが心をよぎる。次のチャンスは7番(パー5)で訪れた。グリーン手前30ヤードからのアプローチを寄せた富村は、パッティングに入る前「パットを入れたいという気持ちが強すぎて、普段よりアドレスで縮こまっているなと感じた」という。「それで、少し胸を張って上体を起こすように修正した」のが、2日間あれほど外し続けてきたパットに光明を指すことになる。

7番でバーディを奪うと、8番では126ヤードのセカンドショットを20センチにつけ、9番(パー3)では7メートルのスライスラインを真ん中から決めて、3連続バーディと2日間の鬱憤を晴らすかのように力強いガッツポーズを見せた。後半も12番でバーディ、15番も4メートルを決めて、この日6アンダーパーまでスコアを伸ばす。このとき、チーム戦の状況は、目下のライバル韓国が予想に反してスコアが伸び悩む中、富村の活躍で日本チームの独走かと思われたが、チャイニーズタイペイがチームスコアを10ストローク伸ばして日本と1打差に迫っていた。復調した富村が、このままスコアを伸ばしてチャイニーズタイペイとの差を広げるかと思われたが、富村のリベンジ達成には、まだ苦難の道が残されていた。

16番。富村のティーショットは右の林の中へ。グリーン方向は約10センチの隙間、誰もが確実にフェアウェイに脱出させるかと思ったこの2打目を「横に打ってフェアウェイに出してもボギーになる。この隙間を脱出させるしかパーを獲る方法は無い」と積極果敢に10センチの隙間を抜いてグリーン方向に運んだ。ギャンブルとしか思えない選択も「今日の自分のプレーの流れがあれば、絶対に抜ける」という確信があったという。しかし、続くアプローチを寄せきれず4メートルのパーパットを残す。昨日までのパッティングなら、決めるのは難しかったかもしれないこのパットを富村がねじ込んで執念のパーセーブ。17番では14メートルのバーディパットを決めて、「あのパーセーブは本当に大きかった」と振り返るが、勝利の女神は、どこまでも富村に試練を与える。

バーディも狙える最終18番(パー5)。富村は、ドライバーを手にする。「緊張していました」というこのティーショットは、右へと曲がり、OBゾーンに消えていった。打ち直しの3打目は3番アイアン。4打目もミスして、残り190ヤードの5打目は6番アイアンを選択したが、「アドレナリンが出ているのが自分でもわかっていて、グリーンオーバーするんじゃないかと怖かった」と極限の心理状況にあったことを明かす。なんとかこのショットをグリーンに乗せて2パットのダブルボギーで抑えたが、ホールアウト直後の富村は顔面蒼白だった。「自分の最後のダブルボギーで優勝を逃すかもしれない…」その恐怖は、3人目の香妻がホールアウトしても拭えなかったのだろう。祈るような視線の先で、最終組の松山がパットを決めた瞬間まで、日本チームの優勝を信じられなかったようだ。

紆余曲折がありながら掴んだ2004年大会以来3度目の優勝。しかも、ホスト国開催以外での男子チーム優勝は初の快挙だ。見事なリベンジを果たした富村だが、優勝の喜びよりも、自分の至らなさを思い知ったという。「上がり3ホールでスコアを伸ばさなければいけないのに、今日もスコアを落としてしまった。もし、最高のプレーで終わってしまったら、自分の課題を見つけることができなかったと思うけど、今日のラウンドも次のステップにつなげなさいということだと思う」と神妙な顔つきで話し始める。「それに同世代のYao選手が3日間17アンダーパーまでスコアを伸ばしていて、15打差をつけられてもいる。こんなスコア差は、あってはならないと思っています」と、圧倒的なプレーを見せたYaoに対抗意識を燃やす。

そしてもう一人、富村の対抗心に火をつける存在がある。「日本アマに調子を合わせてきて、直後のネイバーズは正直、波が落ちていると感じていた。きっと松山選手も自分と同じ状態だったはず。それでも彼は3日間チームに貢献したし、スコアも出している」と、後輩でもあり仲間でもあり、そしてライバルでもある松山との差を突きつけられた。「自分には、まだまだ努力が必要なんです。その努力をし続けなくてはいけないというモチベーションを与えてくれました」。

優勝という最高の結果の中で、自分への課題を見つけられた富村。その姿勢がある限り、富村の成長は止まることがないだろう。

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