午前組の7時48分スタートでプレーした幡地隆寛(東北福祉大)が、67の5アンダーでパーホールアウトしてきた。そのスコアは、午前組の選手が全員ホールアウトするまで、ずっとトップをキープしてきた。幡地と同じ東北福祉大の選手たちが「え? 幡地が5アンダーパー?」と口々に言った。その驚きには理由があった。「3日前からドライバーショットが不調で、まっすぐ飛んでくれないんですよ」と本人も語るほどの重症だったからだ。
苦肉の策で、この日の幡地は、右にしか飛んでいかないショットの応急処置で、アドレスを左に向けてティーショットしたのである。幡地は、もともと飛ぶけれど曲がるという定評があった。平均飛距離が300ヤード。方向性を無視すれば330ヤードは飛ぶという。その飛ばすポテンシャルがもともとある選手だ。前半3バーディ・1ボギーで折り返し、後半も11番でボギーのあと、12、16、17、18番とバーディを奪っての67である。
「実は、ショートゲームが昔から苦手なんです。昔から苦手で、今年は、ともかくその苦手なショートゲームを克服しようと、そればっかり練習していたんです。ショートゲームがなんとなくうまくいくようになると、ティーショットやアイアンショットで多少曲がっても、余裕がでてきたんですね。なんとか切り抜けられるって…」という幡地は、過去3回の日本アマでも思うような成績を残していない。
「(2011年から)予選通過していないんですよ。惜しかったのは、一昨年(奈良国際)の大会で、1打足りずにマッチプレー進出のプレーオフに残れなかったんです。自分の苦手なショートゲームを克服して、なんとかいい成績を残したいと思ったんです」。
幡地は、この大会前までパッティングにも悩んでいた。その悩みにアドバイスしてくれたのは、先輩(1年のときに3年生)の松山英樹だった。「それじゃグリップがかぶりすぎだよ。もっと下からくるむように柔らかく握らないと」というひと言で幡地は救われた。ちょうど2週間前のことである。そのアドバイスが功を奏しての67だったのだろう。
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