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競技報告
【明日の決勝戦を前に比嘉は「攻めてバーディを奪わないと勝てない」】
第4日 競技報告:三田村昌鳳 写真:Gary Kobayashi
比嘉一貴
比嘉一貴(日本パブリック協会)は、一昨年のこの大会でランナーアップになっている。17歳だった。優勝したのは小袋秀人。比嘉は、ホールアウトするなりへたり込んだ。「勝っていれば、こんなに疲れがでないんでしょうけど…」 と言った。その前日には、疲れが溜まりすぎて鼻血が出たと言った。それから2年が過ぎた。比嘉の体は、筋肉がつき、少し分厚くなっている。昨年の日本アマでは「気負いすぎました。(勝ちたいという)気持ちが強すぎて空回りしたんです」。その昨年の秋、比嘉はJGTOのQTを受けてプロの道を考えていた。ところが学校の体育の授業でバスケットボールをやっていたときに、左手の薬指を剥離骨折させてしまったので
石徳俊樹
ある。ちょうど9月のことだ。医者から、当分はクラブを握ってもダメだよと忠告された。プレーどころか素振りもできない。クラブすら握れないという時間が続いた。必然的にQTを受けることを断念した。「きっと神様がプロになるのはまだ早いと伝えてくれたのだと思います」。結果的に、比嘉は今年の春に東北福祉大に入学して、同ゴルフ部に籍をおいた。「まだ、親には世話になりますけど、のちのちのプロ生活のためにも(大学生活は)ためになると、いまは思っています。でも故障の間、2ヶ月はたっぷりかかったんですけど、やることはないからトレーニングしました。ときどき左手薬指を逃がしたままグリップをしちゃいましたけど、いまから思えばいいトレーニング期間だったと思います。そのお蔭かもしれませんが、今年は、疲れが全然違うんですよね。鼻血も出ませんし。今日も、まだやれる感じですし。何が幸いするかわかりませんね」と言った。

準々決勝で片岡尚之(シェイクスピア)と対戦した。片岡は東北福祉大の佐藤太地の札幌光星高校の後輩にあたる。その関係で面識はある。「でも、きっとちゃんと覚えてくれていなかったと思います。でも、今日対戦したことで、記憶してもらいたいと思って頑張りました。比嘉さんのようなゴルフが目標ですから、いい勉強になりました」と片岡は語っていた。一時は、4upまで引き離した比嘉だったが、12、14、15、16番と片岡が奪い返してオールスクウェア。18番で比嘉がきっちりと奪って1upで勝ち残った。「いいゴルフしていたと思いますよ。(佐藤)太地に聞かされていたので、うち(東北福祉大)にスカウトしようかなんて思いながらやっていました(笑)」。比嘉は、決して楽な対戦をして勝ち残っていたわけではない。むしろ忍耐と彼の豊な技量を駆使しての粘り勝ちだった。
「確かマッチプレーは、好きだったよね?」と聞くと「徐々に嫌いになりました(笑)。高1、高2のころは好きだったんですけど、最近は嫌いになりましたよ。うーん、たとえば昔打てたパットが打ちきれなくなったりしているし、やっぱり辛いですよ」というけれど、対戦相手からすれば「こんな曲者いない。ともかく表情に出さないし、技量も持っているし、大学生らしからぬゴルフ」(井関剛義)と評価されている。

準決勝は、石徳俊樹(広島国際)との対戦となった。石徳は、準々決勝で葛城史馬と対戦し8and7とあっさりと勝ち抜けた。2番で、まず比嘉が1up。さらに2番も奪って2up。6番で石徳が取り返すも、8、9番と再び比嘉が奪って3upで折り返した。「いや、ショットは良かったわけではないんです。特にドライバーは荒れていましたけど、高い球、低い球とうまくホールの情況によって使い分けていました。準々決勝のときもそうでしたが、準決勝までのインターバルで治せるわけでもないですし、むしろスウィングは(この期に及んで)いじってもしょうがないです。疲れもあるし、治せないわけですよ、急に。ならば、と思って、インターバルの時に、ストレッチしたり、リラックスして体をほぐしたんです。プレーに深くのめり込み過ぎると逆にいい結果になりませんからね。どんだけ楽しくやろうか、と考えたんです」

比嘉が決してマッチプレーが嫌いになったわけではなかった。むしろ、練達した試合巧者になっていた。弓の弦は、張り過ぎず緩め過ぎずがいい。張り過ぎると弓が折れ緩め過ぎると矢は飛ばない、それを中庸という。まさに比嘉の今日のプレースタイルだった。

11番で石徳が奪い、13番で比嘉、14番で石徳、そして15、16番と比嘉が奪って4and2で決着した。「相手がバーディをとって獲られたときは、精神的ダメージはないんですよ。自分がボギーとか叩いて獲られない限りはね」。いまの比嘉のゴルフ、そしてゴルフ感は充実している。

決勝戦では、小木曽喬と対戦する。ほぼ同年齢で、ジュニア時代に戦っている。「たぶん1年前に一緒に回っていると思います。彼のゴルフは、マッチプレー向きですよ。一緒にやっていてイライラしますから」と、小木曽もなかなか粘っこいゴルフをするという。「あとは、行くしかないですから。自分から攻めていってバーディを獲らないと勝てない相手です」ときっぱりと言い残してコースを去った。

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