3位決定戦で石徳俊樹(広島国際)と対戦して1upで見事に3位となった古田幸希(十和田国際)は、どこかホッとした表情だった。「最後まで自滅することなくプレーできたので、とても満足しています」と古田は言い出した。そして本選手権を振り返った。「クオリファイングラウンドでは、プレーオフになって4ホールの戦い。そのストロークプレーの戦いでは、ボギーを打たないゴルフをやってきて、マッチプレーでは、逆に攻めていくゴルフに切り替えて、その結果すべて(ストローク換算すれば)アンダーパーのプレーができた。そして、大学1年(2011年)の日本アマでは、3位決定戦で浅地洋佑くんに負けたけれど、今回は、3位になれました
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。まあ、自分としては少しは成長しているかなと思います。もちろん足りないところもいくつか見えてきましたし、これからの自分のゴルフに活かせると思いました」と自ら総評した。
ゲームは、1番で石徳が獲って、3、5、7番で古田が奪って2up。そして石徳が9番で取り返して、古田1upのまま後半に向かった。「2番でバーディを獲れて引き分け。その流れのまま3番は、3Wでティーショットを打ったら、飛び過ぎてカート道路で跳ねて、残り60ヤードの右ラフまで飛んでいた。フライヤーを計算しやすいロケーションで、40センチについた。これで、まだやれると。疲れてはいるけれど、体はガタガタではない。クラブも触れていないわけではないし、いつも通り振ることだけを心掛けました」という古田のプレーは、11番を石徳に獲られてオールスクウェアとなり、そのまま3ホール勝敗が動かなくても焦ることはなかった。
古田は内心「15、16番で刺してやろう思った」という。つまり勝負をかけるホールだと決め込んだ。その15番は、178ヤード、パー3。池超えである。その池を避けて右に逃げずに、むしろ左からフェードで思い切って攻めようと決めた。「7番アイアンで左からのフェード。ピンそば30cmに止められたんです。これで流れに乗れました」。1up。予定通りだった。16番は、引き分けだ。そして17番で、石徳に奪われてオールスクウェアとしたものの、古田は慌てることはなかった。「相手にバーディをとられて負けたのですから、動揺もありませんでした。ティーショットを打ち終わった後に、向こうがバーディをとってくるなと思っていましたしね。ぼくとしては、オールスクウェアとなっても次の18番で、絶対にバーディをとってやろうと思っていましたからね」と動揺もせずに18番ティーインググラウンドに立つことができた。
18番、532ヤード、パー5。古田の攻略を聞こう。「2打目は237Y。ユーティリティーで。ピン位置が右の上の段なので、左下の段に乗せれば大丈夫だと思っていたが、アドレナリンが出て左奥。そんなに気落ちすることもなく。18メートルぐらいのファーストパット。最後は50cm」。それを沈めて2パットの4(バーディ)。石徳は、5(パー)。古田が1upで3位が決定した。
「今年に入って、パッティングは、タッチ重視の練習をしていたんです。ロングパットでのタッチを合わせて、より確率の高いストローク、タッチを身につけようとやってきました。ですから、ラインの深いところからカップの縁に寄せるというような感じのタッチで打つ練習ばかりしていました。ですから、この18番も18メートルほどありましたけど、自信はあったんです。入れるというよりは、外れても、次の50センチを入れやすいラインに残して、最後もイメージ通り。練習の成果が出た。完璧だった。ファースパットを打つ前に、どこに止めるかを考えて、カップ手前はやめようと。最後はほぼまっすぐ。曲がっても2、3cmぐらいと読みました」。
次の目標は?と古田に質問すると「団体戦が2試合あるんです。日本学生。春のリーグ戦で日大に負けて。全日本で勝てて。団体戦は自分にとって上級生になるまで良さがわからなかった。チームを背負うことの意識がなかったけど、常勝東北福祉大の看板をキャプテンとして守っていかないと思うようになった。負けて失ったものを獲り返さないと。あと2試合の団体戦を勝ちたい」と東北福祉大ゴルフ部キャプテンとしての古田の表情を見せた。古田幸希に芽生えた自覚、責任感、使命感が今後の彼のゴルフ人生に活かされるときが、きっとくるだろう。
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