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【首位タイに並んだ井戸木は「勝たせてもらいます」】 |
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第3日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:Gary Kobayashi Kentaro Shiba |
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ずっとパッティングに悩んでいた井戸木鴻樹は、本選手権が始まる前に、自宅のどこかにしまってあったパターを取り出して、感触を確かめてみた。「あ、これいいかも知れないな」と思って、大会会場へ持ち込んだ。「ずいぶん前に頂いたパターなんですけど、一度も使わずに車庫にしまっておいたんですよ。はい、ぶっつけ本番。でも、いい感じだったので、なぜかピピっときて使ってみたんですわ。ボールを転がしたのは、ここにきて初めてだったんです」とあっけらかんとした顔で話した。
井戸木は、あまり苦しそうな、辛そうな表情を他人には見せない。いつも笑顔で、大きな声で挨拶し、話す。内心は、パッティングに悩んでいて、そうとう辛い
のだろうと察するけれど「いやー、うまくいかんわ」「パターがねぇ。あきまへんわ」「スコアになりまへんわ」という短い言葉で終わらせる。言葉が短いほど、その胸中はきっと苦しんでいるのだろうと思うしかない。
その井戸木が、今週は、そんな短い言葉でも愚痴らない。むしろかすかな光明を見出して、手探りしながら第1ラウンドを迎え、試合が進むにつれてパッティングの調子が、どんどんよくなっていく自分に、すべての動きがキビキビしてきた気がする。
1番でいきなりバーディ。そして3番、5番ボギーのあと6、7番とバーディで前半33。倉本とのデッドヒート。獲ったら取り返す、落としたら元に戻す。二人の攻防は、まるで最終ラウンドの優勝争いを見ている緊迫感。12番でバーディを獲って通算11アンダーパーとし、倉本に一歩リード。すかさず倉本が13番でバーディとして並ぶ。16番で倉本がバーディで通算12アンダーパー。1打遅れた井戸木は、18番ホールで見事なバーディで、再び並んだ。ともに通算12アンダーパーで最終ラウンド最終組での対決となった。
「会長(PGA)優勝か僕のバースデー優勝か……明日が、楽しみです」と言って囲み取材を終えようとしたところに、倉本が笑顔でやってきた。「胸を貸してあげようではありませんか(笑)」と冗談ぽく言った。「ハイ、勝たせて貰います!」と、あの井戸木スマイルで言い返した。
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