今季のシニアツアーは、この日本シニアオープンゴルフ選手権で9戦目を迎える。
開幕戦の金秀シニア沖縄オープンを制したのは、中根初男であった。大会連覇を狙った崎山武志をプレーオフで下しての優勝だった。
両者は、同年齢で“51歳対決”として注目された。勝った中根は、これがレギュラー時代も含めてプロ初優勝であった。25歳でプロ入りし、30歳のときにイップスに襲われた。テイクバックでクラブが動かない。10年間、このイップスに悩まされ続けた。中根の現在のテイクバックは、ちょっとユニークである。アドレスでクラブヘッドを大きく浮かせておいて、いったんティーアップしたボールの上を飛球線方向に通過させてからその反動を利用してバックスウィングへと移行するのだ。ちょっと大袈裟なフォワードプレスだと思ってもらえばいいだろう。この方法にたどり着くのに10年の歳月が必要だった。「妻も息子も、僕が優勝したといっても信じないでしょうね」と笑いながら語る中根の、これが1打の背景である。
第2戦のKYOURAKU MORE SURPRISE CUPでシニアツアー2勝目を挙げた奥田靖己は、今年に入ってすぐに胆石になり、40日間もゴルフから遠ざかっていた。おまけに白内障でパッティングラインを読み切れない。そんな状態で陳志忠とのプレーオフまで進み、勝ち抜いた。前年の同CUPでは、室田淳とのプレーオフに敗れているから、相手は違っても同じプレーオフによるリベンジであった。 |