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Championship Report

競技報告

2014年度(第26回)エスピリトサントトロフィー 世界女子アマチュアゴルフチーム選手権

【悔し涙の輪になってしまった最終ラウンドの日本チーム】
第4日 競技報告:塩原義雄 写真:Y.WATANABE / G.KOBAYASHI
勝みなみ
岡山絵里ホールアウト風景
日本チーム悲願のベスト3入りはならなかった。第3ラウンドに続いて最終グループでのスタートとなった最終ラウンド。しかし、優勝したのは、この最終グループではなく、前をいくオーストラリアチームだった。アマチュア世界ランクNO.1のミンジー・リーと、チームメイトのスー・オー両選手がスタートからの猛ラッシュで急追し、最終グループのカナダ、韓国、日本チームをごぼう抜きしての大逆転で大会3度目の優勝をさらっていった。ミンジー・リーが65、スー・オーが66とそろってビッグスコアを叩き出し、チームスコアは最終ラウンドだけで13アンダーパー。「最終ラウンドに調子のピークを合わせる」というチーム方針と、選手たちの調
松原由美
整が、驚異の逆転劇を誕生させた。

日本チームは、「緊張で、金縛り状態になってしまった」という第1ラウンドのプレーの再現となり、スコアを伸ばせない。この大会4日間とも先陣を切っていった岡本絵里は、4番までパーを続けた後の5番(パー5)でイーグルを奪って旗振り役を演じたが、これで波に乗るというわけにはいかなかった。緊張は解け切れずに、8、13番をボギーにしてイーブンパーに逆戻り。14番もボギーにして1オーバーパーに。最終18番ホールをバーディで締めくくったものの、72にとどまった。そして、この岡山の72が、最終ラウンドの日本チームではベストスコアであった。

2番手スタートの松原は、バーディ発進したものの、その後はショットの乱れが目につくようになっていった。ティーショットはラフ。アイアンショットはグリーンヒットできず。乗っても難しい距離、ラインを残すことになって、3バーディではカバーしきれない4ボギー・1ダブルボギーを叩いて75。さらに勝もショットでボールをつかまえ切れずにプッシュアウト気味になっていた。1番で第3打をグリーンオーバーさせてのボギーに続き、2番では右の池に打ち込んで連続ボギー。「緊張から肩に力が入ってしまって…。自覚はあったのですが、その力みがとれなくて…」(勝)。流れを引き戻すことができずに、松原と同スコアの75でのホールアウトとなってしまった。最終ラウンドのチームスコアは3オーバーパーとなって、4日間通算では14アンダーパーで8位タイに後退して大会を終えることになった。

最初にホールアウトした岡山が阪本キャプテンに迎えられ、声を掛けられるとタオルで顔を覆ってしまった。続いてホールアウトした松原は、18番グリーンを下りるところから大泣き、最後の勝も…。大泣きの輪が広がった。
「この大会に合わせて、合宿をしてきました。そのときは、みんな調子がよくて、阪本キャプテンに言われた“チームで1日5アンダーパー。4日間で20アンダーパー以上”という目標クリアはできると思っていました。自分たちには、それだけの力があると信じていました。でも、最終ラウンドにオーバーパーとなっては、実力を出し切れなかったという結果で、それが本当に悔しかった」(勝)
「世界のトップ選手たちとのレベルの差を痛感させられました。最後は、なんとかアンダーパーまで巻き返そうと思ってプレーを続けたのですが、それも空回りに終わるだけになってしまって…。自分が不甲斐なかったです。口惜しいやら悲しいやら、で(涙を)我慢できませんでした。この悔しさと(2日間最終グループでラウンドできた)経験を絶対に忘れません」(松原)

「初めての自国での大会でしたから、結果で恩返ししようと考えてきたのですが、こういう結果になってしまって申し訳ない思いでいっぱいです。メンタル面を鍛え直して、プレッシャーに打ち負かされない自分にしたい。心から、そう思いました」(岡山)

3選手が、そう語ってくれたのは、競技が終わってしばらく経ってからだった。こみあげてきた感情は、その時間をとることで静まったが、口惜しい思いは、ずっと引きずったままで、この後のアジア大会、さらにまた2年後の本大会(メキシコ)で雪辱するまで続きそうだ。高校3年生の岡山は、ともかく、高校1年生の勝、松原には、そのチャンスが残されている。

阪本キャプテンも「最終ラウンドにオーバーパーというのは、技術面以外の問題かもしれません。世界レベルの選手たちと逆のペースになってしまうのは、実力の差と言ってしまえばそれまででしょうが、我々スタッフも強化方針や、もっと国際競技での経験を積ませるとかといった方法を見直さなければならないと思っています」と、最後は日本の現状を冷静に分析し、総括していた。


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