17歳の高橋慧は、実は左打ち・右打ちをプレーでやってのけるスイッチ・ゴルファーである。今回は、6番アイアン、8番アイアン、ピッチングウェッジの3本が左打ち用。残りが右打ち用のセッティング。それは「コースの状況、ショットの調子、気分で番手を入れ替える。ときには5、6、7、7と番手を入れて、7番のひとつだけ右打ち用にすることもある」という。小学校2年生のときに父親がゴルフを始めさせた。それから10ヶ月遅れで左打ちも練習させた。高橋は、別に違和感なく両方打っていた。もちろん、両方共ちゃんと当たらない。父親の高橋良実さんもハンディキャップゼロまでいったことがある。そんなゴルフ好きが昂じて「息子を両方で
打てるようにしたい」と思ったそうである。人がやらないことをやらせたかったのだと言った。初めて対戦する選手は、一応に驚く。唖然とする。バンカーショットで左打ちをすることで、構えやすくなることもあるし、木の近くにあるボールを打つ場合もどちらか選べる。高橋は、器用に使い分けている。「2年1ヶ月の間に、左右併せて100万発打たせました。次から次へと私がボールを置いて、ハイ次、ハイ次というように打たせたんです。子供は、別に違和感なく打っていましたよね」と良実さんは言った。本能的に覚えてしまったのだろう。ドライバーの飛距離が右で285ヤード。左はちょっと距離が落ちる。
その注目の高橋は、早朝のプレーオフ18人の1人だった。早々に1ホール目で勝ち抜いて、メダリストの村山駿と対戦した。
前半は、拮抗していた。1番で獲られ、2番で取り返しオールスクウェア。4番で獲られ5番で獲り返す。が、6番も獲られて1down。「悔いが残るのは、9番ホールです」と言った。「あれで流れがすべて変わって、こっちにこなかった」と息子が言った。実は、パー5の9番で、2オンしそこからのパッティングで3パットのパーとしたのである。「キャディさんの傾斜の読み間違いです。あの人です」と父親の方向を指さした。
「スコアは良かったです。1イーグル、3バーディ、1ボギーの4アンダーパー。4and3で勝ちました。前半3つ伸ばしたけど、1アップしかできなくて。9番でとられそうだったんですけど、相手が外して分けて、10番で僕がバーディで獲って(2up)、それで流れができましたね。あとは淡々とやりました。メダリストになると良く1回戦で負けたりするじゃないですか、今日も前半ではそれが頭をよぎり、怪しいなと余裕がなくなって…なんていうのか不安でしたね」という村山は、メダリストの貫禄か。2013年に日本学生に優勝。「今年が最後の日本アマだと思うので(東北福祉大4年)、有終の美を飾れるように頑張りたい」と闘志を燃やしている。
高橋は、9番の3パットのあとひとつも獲れず、10、12、15番と奪われて4and3で敗退した。高橋は、このあと世界ジュニア。そして福島オープンに出場する。
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