マッチプレーでは、無言の威圧というのがある。ゲームの中で、敵は只者ではない、と思わせる1打や場面を見せることが、それだ。心理的に不安要素を与えて揺さぶる。そうやって流れを引き戻したり、リードしたりする。対戦相手にしか解らない圧制が、肝心な場面で出せると、ゲームの流れを変えるチャンスがやってくるのだ。
髙橋雅也とScott Harveyの対戦は、奇しくも全米ミッドアマ勝者(2014年)と日本ミッドアマ勝者の対決となった。Harveyは、今年のマスターズに招待され戦っている。残念ながら予選通過はできなかったけれど「ものすごくいい経験をしましたよ。この日本アマも、USGAから特別招待があるから
と手紙が来て、こんなチャンスはない、と出場を決めたんです。もちろん初来日です。それにしても、この廣野ゴルフ倶楽部は、日本のオーガスタみたいな趣きがありますね」と語った。
そのHarveyと髙橋の対戦を振り返ると「1番で、Harveyに獲られ、2番で、HarveyがOBを出して僕が取り返したのですが、そこからがダメでしたね。相手を脅かすショットがなかったんです。やっぱり、敵に、“あ、こいつは、やるな”と思わせるプレーがどこかにないと、相手は、自分のペースで回れてしまいますからね」と振り返る。
2番で高橋が獲りオールスクウェアのまま、6番まで続いた。そして7番でHarveyが1up。9番、12番、13番と一気に奪われて髙橋は4downとなってしまった。「彼は、ほんとにいいゴルフをしますね。ドライバーに少し迷いがあった感じがしますけど、あとは素晴らしかったです。さすが全米のミッドアマチャンピオンというゴルフでした。そういう意味では、いいマッチができて、楽しかったです」と髙橋は、納得の敗退の弁を語った。
15番で、Harveyが5upとし、結局、5and3で2回戦進出を決めた。「できれば、トロフィを持って帰りたいけど、まだ1回戦が終わったばかり、道程は長いね。これが終わったらポーターカップ、そして全米アマに出場する予定です」というHarveyが、どこまで勝ち続けるか楽しみだ。
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