準決勝で金谷拓実と対戦し、敗れた石徳俊樹の話を聞こう。「ショットは曲がる、パットは入らない。ダメでした。この試合に入ってからショットの調子はずっと悪くて、フェアウェイに行かない、バンカーには入る…パットが入ったので今まで良かったんですけど。ストロークのときもプレーオフで落ちるんじゃないかと思っていました。マッチプレーに入って、(1ホールの勝負なので)楽にはなったんですけど、ここまで来るとやはりショットでバーディチャンスにつけていかないとダメですね」とダメダメずくしのコメントたった。でも、対戦相手は、そういう印象を受けないというのが、石徳のゴルフスタイルだ。良く言えばスクランブルプレーヤー。粗い
表現をすれば、暴れ馬プレーヤー。どこからでも、パーやバーディを獲ってくるという印象がある。
しかし、金谷との対戦は「自分の生命線であるパッティングがダメでした」と敗因を認める。終わって見れば、ワンサイドのような展開。石徳がホールを獲れたのは、わずかに16ホール中3ホール。2,9、14番だけである。では勝った金谷は、楽勝だったのか?実は、そうではなかった。金谷の説明を聞くと、キーポイントとなるホール、ゲームの流れを変えてしまうかもしれないという場面が、2回あったという。
「ひとつは、8番ですね。結果的に分けたのですが、僕が左奥のバンカーに入れて、乗らず、寄らず、入らずのボギー。石徳さんは、グリーン手前の花道から、結果的にボギーとしてくれたのですが、もし、そこで僕が負けていたら、流れは変わったと思います」。次のポイントが、11番終了時で、金谷が4upと大差をつけたところだ。「ここから気持ちを切り替えました」と金谷が言う。4upという差は、悩ましい。少しの油断が緩みになりやすいし、相手も、一気に攻めだけのゴルフになって冒険をしてくる。それがうまくハマると、あっという間に逆転されるケースが、マッチプレーではありうるのだ。ましては石徳のプレースタイルをよく知っている金谷は「石徳さんならあり得る」という印象がある。そこで、金谷は「相手を見ないでやろう!」と決心した。自分のゴルフに集中、没頭する。相手の動きは見ない。その気持が大過なくプレーをさせてくれたのだった。14番で石徳に獲られたけれど、3and2で石徳を破って決勝へと進んだ。
「ティーショットは、よくなかったんですよ。でも、ラフに入ったボールを、よくリカバリーできました。フェアウェイをキープしたのは半分ちょっとかな」といい、これまでの対戦で先輩の長谷川、そして石徳と「いつもお世話になっている先輩の方たちなんですよね。普通にやったら勝てない人たちですよ。でも、僕は、もう開き直ってやるしかないという気持ちだけでやりました。自分のできることしかできないですから」と言い「決勝ですか……ここまでこれるとは正直思っていませんでした」と言う。決勝では、1998年5月23日生まれの金谷と2000年6月24日の中島啓太という10代対決となった。
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