猛追したのは、今年JGAナショナルチームのメンバー入りした西村優菜(大阪商業大学高校2年)だった。トップの菅沼菜々とは7打差の8位タイからのスタートだった。追いつくには、厳しい位置だった。
「とにかく、できることをやるしかない。どこまで詰められるか、やるだけのことをやり尽くそう…って、そんな気持ちで最終ラウンドに臨みました」と西村はいう。興味深かったのは「攻めまくる」ではなく「できることを…」と口にしたことだった。
言葉どおり、冷静にゴルフを組み立てていった。3番(パー5)では70ヤードの第3打を58度のウェッジで1.2メートルにつけた。6番(パー5)では、100ヤードの第3打を5
0度のウェッジで1メートルに寄せた。13番(パー5)は60ヤードの第3打を58度のウェッジで1.5メートルに。
西村のバッグには、50度と58度という2本のウェッジが入っている。「58度は80ヤード以内、50度は100ヤード以内の距離と使い分けています。このコースは、パー5ホールでバーディをとることが好スコアへの必須条件になります。50度と58度ではロフトピッチが広すぎるように思われるかもしれませんが、第2打で、どちらかのクラブが使えるようにしっかり距離を考えてクラブ選択し、第3打につなげていきました」。
ピンまで70ヤードを残した3番では、第2打で9番ウッドを使い、100ヤードを残した6番では3番ウッドを手にした。そして、60ヤードを残した13番では、9番ウッドできちんとレイアップした。西村がいった「できること」とは、こうしたスマートな戦術のもとでのゴルフのことだった。
17番、18番と上がり2ホールを連続バーディで仕上げて、トータルでは6バーディ・2ボギーの69。ホールアウトして最終組の結果を待ったが、おしくも1打届いていなかった。
「7打差もあったので、悔しいというより、ちょっと残念だったな…という感じです。でもいいゴルフができたし、やりきった感もあって、今の気持ちは爽やかです。優勝は、3年生になる来年に持ち越しということで…」
西村は、表彰式でも、晴れやかな表情を浮かべていた。
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