本選手権の直前に、申ジエは、クラブセットをごっそりと換えた。理由は、どうやら2つ。ひとつは気分転換。そして、もうひとつは「いままで使っていたアイアンは、ラフに入ると、ちょっと飛びすぎる」からである。それに合わせて、パターまで換えてしまったのである。「マレット型を使っていたのですが、ピンタイプのものにしました。キャメロンのピンタイプのパターは、ジュニア時代以来だと思います」と語る。パターを換えたことで、インパクトの音色もいいし、ボールが伸びてくれるのだという。ともすればショートめになりがちの申ジエのパッティングの打ち方には、絶好の伸びだという。
日本語は、メキメキ上手になった。ときおり通訳を介
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することがあるけれど、それは、丁寧語になおされる程度なのだ。ゴルフの丁寧さと同じに、申ジエの日本語も、いい加減さのないように記者たちの質問に答えていた。
10番からのスタート。降雨の悪天候で、6時45分のトップスタートが、1時間遅延し、さらに45分の遅延。そして1時間の遅延と、2時間45分遅れのスタートだった。9時57分スタートの申ジエも、当然遅くなった。「早朝から来て、長い時間スタートできなかったので、最初は身体のコンディションもよくなく、12番(パー3)でいきなりボギーでした。9メートルを1メートルほどオーバーして、返しも入らずに3パットのボギー。でも、それで逆に集中でしました」と言う。
スタート3ホール目のパンチを喰らって目覚めたということなのだろう。前半をイーブンパーで折り返して、後半、1番(パー5)で残り95ヤードを1メートルにつけてバーディ。申ジエのエンジンは、ようやく滑らかに加速していった。4、5、6番と連続バーディ。
「ショットは、ちょっと当たりが薄かったのですが、6番ホールのバーディから気持ちいいほどのショットが打てるようになりました」
日本女子オープンのタイトルは、当然、申ジエも欲しい。昨年の3位が過去ベストである。
「今日は、雨がたくさん降ってグリーンも柔らかく、よく止まってくれましたから、ピンをデッドに攻める場面も多かったですが、これが天気になって乾いてくれば、デッドに狙えなくなるし難しいと思います。別のコースだと思わないといけません」と、5アンダーパーの好スコアでも決して油断していない。
でも、とりあえず5アンダーパースタートで、ホッとしたでしょう?と、聞くと「いやいや、ホッとしたらだめです。この集中やショット、ゴルフのいい感じが途切れてしまいますからね」と締めくくった。
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