練習ラウンドでコースチェックした小平智が4日間の目標スコアとして設定したのは通算10アンダーパーだった。「そのスコアは、気象状況によっても修正しなければならないかもしれませんけど、優勝スコアもそのあたりになるのではないか、というのが練習ラウンドから割り出した数字です」。
目標は、もちろん2年ぶり2度目の優勝だ。チャンピオンズディナーでも、中嶋常幸や片山晋呉といった先輩プロから言われていた。「1回だけの優勝では、本当のチャンピオンとは認めない。2回以上勝って、やっと本物だからな」と。かつて、片山自身もそう言われて発奮材料にしたことがある。
「先輩方に認められたいですからね。2度目を意識してい
ます。幸い、ショット、パットともに好調です。しっかりマネジメントしていける状態だという自信もあります」。
小平は、第1ラウンドのスタート前にも、きっぱりと明言していた。バーディ合戦になるようなコースよりも、難しいといわれるコース、セッティングでのプレーが好きだという。「その中で、どれだけフェアウェイをとらえていけるか。どれだけパーオンさせられるか。さらにその中でいくつバーディを仕留められるか。ピンチも必ずある。そこで、どう対処してパーセーブできるか。そういうコースとの勝負が好きなんです」。
さて、第1ラウンド。小平は8バーディ・2ボギーの6アンダーパー、64でトップタイという絶好のスタートを切った。8バーディのほとんどは、1パットで決めやすい傾斜、ラインに止めて確実にカップインさせたものだし、ボギーにしたホール、パーで切り抜けたホールも、偶然の結果ではなく、そうなるべくしてなった“意味のある1打”毎の繋がりがもたらしたものだった。この点で、同組でラウンドした石川遼とは対照的なところがあった。攻撃的なゴルフを身上とする石川が、ところどころ、ちょっと無理なプレーをしてスコアを乱すシーンがあっただけに、小平の冷静で計算されたマネジメントゴルフは、余計に際立って見えた。ラフからのショットでも、ライによって、グリーンを狙えるか脱出を優先させて次のショットにかけるか。そうしたメリハリが随所にある第1ラウンドであった。好調なショット、パットがあるからこそできるマネジメントであるとすれば、石川には、まだその好調さは戻っていない。そう思わせる両者のプレーぶりでもあった。
「4日間の目標スコアからすれば、今日の6アンダーパーは、最高に近いと思います。でも、こういうコースでは、それ(6アンダーパー)掛ける4にはなりません。うまくいって、ゴールは倍の通算12アンダーパーでしょうし、もっと足踏みさせられることもあります。好スタートが切れたからといってイケイケになることなく、明日はまた、冷静に、しっかりしたマネジメントでホールを消化していきます。そうすれば自然に先頭でゴールインできると思います。コースに対してやるべきこと、やれることを選別して目の前の1打だけではなく、その先の数手まで考え、計算したゴルフ。それが、今の自分のプレースタイルだというふうに考えていますから、そこをぶらすことなく、やりつづけます」。
小平は、2年ぶり2度目の優勝へ、揺るぎない自信をのぞかせた。
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