竹谷佳孝にとって、上位での戦いは久し振りになる。2014年の日本ゴルフツアー選手権で優勝してから、この権利で得たシードにより、ずっとフル参戦してきたのだが、その後、上位に名前が出ることは滅多になかった。それが、突然の2位タイ。連日68をマークして、通算4アンダーパーでホールアウトしての第一声が「奇跡です」。続いた言葉は「信じられない」。さらに、この後、こう続く。「ここ数年の悪かったところが、全部良いふうに向かっているのかな…」。
日本ツアー選手権でフル参戦するようになって、気がついたのはゴルフの難しさだったという。「あれ(優勝)が自信になったというより、優勝者にふさわしいゴルフをしようと
意識するようになり、“こんなんじゃ、ふさわしくないな”とか、“もっとしっかりしたゴルフをしなくちゃ”とか、どんどんネガティブになっていってしまったんですよね。ここにきて、自分は、自分なんだとようやく割り切れるようになってきて、今できることをやろうという考えに改まりました。こういうポジションで、しばらくプレーをしていないので、明日以降、どんな自分が現れるのか不安もありますけど、それ以上に楽しみです。今できることをやり切ったら、結果はついてくるようにも思えるんです。この2日間、刻んでパーとかボギーというのをやっているので、そのスタイルを忘れず、自分との戦いに挑みますよ」。
その最近のゴルフを支えているのはショートゲームだという。「アプローチとパッティングが上達して、スコアメイクをそこの勝負にもっていけるようになっているのが大きいと思います。自分が、どこで、何をもって勝負するのか。やっと、落ち着くべきところに落ち着いた感じですね」。
話を聞いていて感じた。ちっともネガティブではなく、かといってポジティブになりすぎてもいない。等身大のゴルフに徹しようというプロが、そこにいた。
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