スタートホールの1番で、いきなりピンチに立たされた。第2打がグリーンサイドのバンカーにつかまってしまった。うまく脱出したものの、パーセーブのためには3メートル以上あるフックラインのパットをしずめなければならなかった。「微妙なパットだったので、ちょっとドキドキしながらのストロークになりましたが、うまく決まってくれました」。これで急速に落ち着きを取り戻し、続く2番(パー3)は3メートルにつけてバーディを先行させた。さらに距離の長い3番(パー4)では、第2打を右手前にショートさせたものの、ここからチップインを決めて連続バーディとした。
上平の粘り強さが発揮されたのは、4、6番とボギーを打ってス
コアを振り出しに戻してからだった。9番からの3連続バーディ、レイアップ作戦が実った15番(パー5)と、4バーディで通算5アンダーパーにスコアを伸ばした。
今シーズンは日本オープン前まで、日本ツアーに6試合出場しただけで獲得賞金は638万500円のランク80位。本大会も最終予選からの出場だった。本選出場が決まり、練習ラウンドもこなしているうちに心境に変化があったという。
「この先出場できるトーナメントも限られているので、QT(3次)を受ける覚悟だったんですよ。でも、練習ラウンドで結構いいゴルフができたことで“いや、ちょっと待て。ここで頑張れば、もしかすると(サードQTに)いかなくてすむかもしれないぞ”って思えてきたんです」
その思いがあったから、身上とする粘りのゴルフが続いた。「ええ、今週の僕はしぶといですよ」。158センチ。小柄な身体で、ピンチをセーブしながらチャンスを待つ。それが上平のスタイル。今大会では、そのスタイルが徹底されている。過去QT受験は10回を数える。「QT慣れしているといわれれば、そのとおりなんですけど、やっぱ、その回数を増やすのも、もういいかな…と思いますよね。賞金ランキングでシードを決めるには、この大会で2位以上ですか。第3ラウンドを終えて、せっかくこの位置まできたんですから、やれるだけやってみようって気になっています」。
粘りのゴルフで池田にしぶとく食らいついていく展開が最終ラウンドに待っていそうだ。
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