この日、池田勇太は、3アンダーパーの67。通算10アンダーパーで、2位タイの上原栄道、小平智、アマチュア金谷拓実に5打差をつけて第3ラウンドを終えた。それでも、ホールアウトしたあと池田は、不機嫌だった。「大馬鹿者としか言いようがない」と、自分を責めていた。原因は、上がり3ホールをボギー、パー、ボギーで締めくくったからだ。
「それ(15番)までのゴルフをすべて帳消しにしてしまった。せっかく一生懸命にやってきた自分のゴルフ。それを台無しにしてしまったわけですよ」と、自責の念が溢れていた。
2014年、池田が日本オープンに初優勝した直後に、こんな話をしていた。「いちばん僕のプロゴルファーとし
ての心情を揺れ動かしたのは、やはり(日本オープンの)コースセッティングなんですよ。選手としては、与えられたコースセッティングを自分の技量を駆使して、どう攻略してやろうかに、いちばん、気持ちが騒ぐわけです。それは、そうですよね。自分対コース。一筋縄ではいかない。いろんな技術の引き出しや、メンタル、そしてゲームマネジメントをフルに発揮して、自分がコースに勝ちたいと思うのは、そういう舞台を与えられた時ですからね。
このセッティングなら唆られるな、プロとして、いいなという気持ちは確かにありました。まさかこんなに早く勝てるチャンスがあるとは思わなかったけど、そういう雰囲気の中で、味わいながら勝てたということは非常に嬉しかったですね。
日本プロ優勝のときは、何度も言うけれど、メジャーに勝つということがどういうことか、解りませんでしたよ。でも、ふたつのメジャーに勝ってみて、改めて、メジャーだからという何かの違いみたいなものを感じ取れたことは確かです。注目率も高いですし、いろんな意味で重みというか、言葉には表現しにくいことだけれど、やっぱりメジャーに勝つというのは、こういうことなんだと解りました」と語っていた。
その優勝を機に、日本オープンに勝つということに照準を合わせた。そして、事実、優勝争いをして2位に2度、甘んじている。だから今年も本大会に勝ちたいという執念が、とてつもなく強い。
第1ラウンド、第2ラウンド、ゲームの流れと自分の技量やコンディションに合わせて丁寧な攻めと守りのゴルフで、ある意味、計算通りに運んできていた。少なくとも、この日の15番でのイーグルまでは、申し分なかった。
「こんな(上がり3ホールの)終わり方をしていたら、どんな試合でも競っているときに勝てない。1日の締めくくりとしては最悪です」と、口を尖らせた。
池田は、2位に5打差をつけて最終ラウンドを迎えることになる。72ホール中の54ホールを終え、起承転結の最後の締めくくりの18ホールで、どんなゲームマネジメントを見せてくれるのだろうか。いい締めくくりで終わりたいはずだ。
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