「今週は、ずっと調子がよくて、けっこう強気でラウンドできています」
2位に浮上した竹安は、3日間のプレーをそう振り返った。強気の源は、改造したスウィングにある。
「僕には、緊張したときに体が開いてプッシュアウトする傾向があったんです。それを修正しないことには、優勝争いどころか上位の争いにも加われないと思いました」。問題は、どうすれば修正できるのかだった。シーズン初めに東北福祉大の後輩・比嘉一貴と練習ラウンドを一緒に回ったときのことだった。「低い弾道のショットを打っていたので、“それ、どうやって打つの?”と聞いたんです。“左足体重にセットして、重心移動させないようにしています”というので、そ
れを取り入れて試し、練習しました。自分には、この方法が合っていたみたいで、それからミスしなくなったし、自信を持って打てるようになってきました」。
ウィークポイントと言っていたドライバーショットが自信を持って打てるようになったことで、つまらないミスもなくなり、安定したスコアを出せるようにもなったという。今大会も、第1ラウンドの69、第2ラウンドの71とオーバーパーはなく、第3ラウンドにベストスコアの65と爆発して一気に3打差の2位にまで浮上した。ティーショットが安定すると、第2打で積極的にターゲットを攻めていける。
この日の竹安を象徴するシーンがあった。3バーディを奪って迎えた8番(パー4)だ。グリーンまで打ち上げになる119ヤードの第2打。ピッチングウェッジで放ったショットは、そのままカップに吸い込まれた。本人には、カップインは見えなかったというが、グリーン周りのギャラリーの歓声で、それと知った。「インパクトの手応えもあったので、それとギャラリーの歓声がすぐにつながりました」。
大学4年でQTに挑戦し、ファイナルで12位に食い込み、2015年にツアーデビューしたものの、シードはとれずに、翌年はアジアンツアーを主戦場にした。そして、17年に再び日本ツアーを戦いの場としてシードを得た。そして、いま、初優勝に手が届きそうな位置にいる。最終ラウンドの戦いは―。「絶対に緊張すると思うんですけど、その中で改造したスウィングが最大の効力を発揮してくれればいいな…なんて考えています」。実は竹安、最終ラウンドの優勝争いを、その中で自分がどうなるのかを知る絶好の機会ととらえているのだった。
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