第1ラウンドで4アンダーパーの首位タイにつけた出利葉太一郎(いでりは・たいちろう)は、第2ラウンドでも6バーディ・1ボギーの67で回り、通算9アンダーパーで首位タイに躍り出た。
「(10番からの)前半の9ホールは、ショットの調子がいまひとつで、なかなかうまくいきませんでした」という出利葉は、1アンダーパーで折り返した。調子がいまいちという状態でも、13番(パー5)をバーディ。あとすべてパープレーで切り抜けた。「ピンチは、14、16番でしたね。それをなんとかしのげたことが、後半につながったのだと思います」
後半の1番でいきなりボギーでも、慌てることはなかった。圧巻だったのは、2番から4ホ
ール連続バーディを奪ったことだ。2番で6メートル。3番でも6メートル。4番(パー3)では約2メートル。5番(パー5)では、3オンして1メートルのバーディパットを沈めていた。さらに、7番でも7〜8メートルの距離を沈めてのバーディで、32。「ほんとに、アプローチとパッティングでしのいだゴルフでした。特に、前半はティーショットがよくなくて、どうなることかと思っていました」という。どうしても右に押し出すボールが多く、それが嫌で左にという傾向があった。
「ドライバーを構えて、どうも気持ち悪くて、どうしようかと……。でも、ここでビビって、小さくまとめるゴルフだけはしたくなかったんです。刻むという選択肢も確かにあります。でも、いまの僕は、もっと大きなゴルフをしたいという気持ちでやってきていましたので、そこは恐れずにやり通そうと思いました」
7番(パー4)でのバーディが、その最たるものかも知れない。今日のドライバーショットは、どうしても右に押し出す傾向。さりとて、意識しすぎると引っ掛けになる。そこで彼は、今日の傾向の球筋を意識的に貫いた。思い切って隣のホールのフェアウェイに抜けてもいいと。そこからグリーンまでは、オープンな視野。8番アイアンで7メートルに寄せてのバーディだ。迷わない、躊躇しない。「同世代の杉浦(悠太)くんなんか、狭いところでもしっかりと振り切っていくんですよ。それがこの先いいかどうかはわからないけれど、いまは、それでいいんだと思っています」
出利葉は、高校時代から注目されていた選手だ。卒業後プロ転向という選択肢もなかったわけではない。それをやめて日本大学進学の道を選んだ。「いまとなっては(進学が)すごくよかったと思っています。いろんなことを勉強させてもらっていますし、人間関係とかも学べているし、ほんとによかったと思いますね」という。
出利葉は「今日の調子がいまいちの状態で、このスコアは上出来だと思います。それは、小さなゴルフでまとめたくないという気持ちの表れなんだと」昨年来、不調に悩んでいた。そんなときに、日本大学ゴルフ部のコーチや監督とも相談した。「いまの結果だけを求めるわけではない。将来、どれだけ大きなゴルフができるかというための、いま、なんだから」と言われた。だから、今日のゴルフの内容でも、ビビることも、怯むこともなく、そんな姿勢で取り組んだ。
通算9アンダーパー。一度は「死んだ(出場かなわないと諦めていた)自分ですから、やれるところまでやっていきたいと思っています」という彼の視線は、きっと彼の未来予想図にあるのだろう。
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