雨は、ゴルファーにとっては天敵である。雨のプレーが好きというゴルファーは、まずいないだろう。中島啓太も、雨は、好きではない。
けれども、雨の中のプレーで、どうすればスコアメイクにつながるかを自分なりに知っている。だから、一時は中断もあるのでは、という激しい雨の中でも、しっかりとプレーできていた、という。
最終組がスタートする午前8時40分。その前から雨あしの激しさが増していた。中島は、慌てることなく、穏やかに3ホールをパープレーで切り抜けて、4番(パー3)。5番(パー5)で連続バーディをもぎ取っている。8番(パー4)でボギーとしたものの前半を1アンダーパー。通算10アンダーパーで後
半へと折り返していった。
「昨夜からの天気の悪さ。雨が止む気配のない中でのプレーでしたけど、それにしても、グリーンの素晴らしさに驚きました。あれだけ降り続いていたのにも関わらず、水が
溜まることもなく気持ちよくプレーできたことに、まずは感謝です」と、中島は言った。
通算9アンダーパー。首位タイでスタートした。他の選手たちが苦戦を強いられている中、中島は、むしろ淡々とペースやリズムを変えることなくプレーを続けていた。
折り返しての10番でバーディ。そこから中島は、悔いの残るプレーをしてしまったという。「11、12、13、14、16番の5ホールですね。もう少し落ち着いてプレーできていればという反省点はあります。10番でバーディのあと11、13番が、パー5なんです。そのふたつがバーディチャンスだったんです。さらにその間の12番でボギー。マネジメントは正しかったのですけど、ありえないミスショットがでてしまったりして、少し流れが悪かったですね。せっかく後半には雨も小ぶりになって止んできたのに……」それがなければ「あと5ストロークぐらいは縮められた」と話す。
悪い流れに終止符を打ったのは、最終18番だった。第2打を1.5メートルぐらいにつけた距離を1パットで沈めてのバーディだった。
雨などの悪天候で、中島が最もゲームの基軸にしているのは、マネジメントである。
「マネジメントさえしっかりしていれば、雨は嫌いじゃないですよ。今日だって80を叩いてもおかしくない状況の中、1アンダーパーで収められたのですし」とマネジメントの重要性を説いていた。
第2ラウンドで63という驚異的なスコアを出した中島啓太だが「そういうスコアの次の日って難しいですよね。どうしても前日の凄くいいイメージが残っていますからね」その残像を消し去ってリセットし、新たな18ホールという切り替えの難しさがあるという。逆に言えば、この雨という悪条件が、昨日のプレーの残像を消し去ってくれたからアンダーパーで回れたというゲームにしてくれたのかも知れない。
明日、いよいよ最終ラウンド。「ゲームプランを間違えないことですね。自分とコース。ヤーデージブックをしっかりと見て、ゲームプランを組み立てて、コースとどう戦えるかだと思います」ときっぱりと言い切った。
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