最終日、前が全く見えないほどの朝靄だった。キャディさんたちは準備しながら「この靄はそのうち消えるわよ」と教えてくれる。そこから始まる談笑の中で、ある選手の名前が出てきた「中川くん、頑張って欲しいわ」。
中央学院大学3年の中川拓海は、千葉黎明高等学校のゴルフ部の一期生で、3年間キャプテンを務めた。同校の理事長がカレドニアン・ゴルフクラブのメンバーという縁があり、「キャディのアルバイトをした後、ラウンドさせてもらっていました」と話す。高校当時は月に2、3回足を運んだという。自宅から同GCまでは約20分の距離。中川にとってまさにホームグラウンドなのだ。
中川を見つけたキャディさんたちが代
わる代わる彼に近寄って「中川くん、がんばってね~」と声をかける。すると中川は「はい!」と嬉しそうに笑顔で答えた。
本格的にゴルフを始めたのは9歳の頃。小、中学生は試合には出場したが、上位の成績を収めたことはなかった。
今大会に向けて、高校時代のようにキャディをやり、そして練習を重ねた。
4Rスタート時、「今日10位を目指しますよ!」と話していたのだが、残念ながらこの日のプレーは中止に。結果、今大会は1R67、2R71、3R70の通算5アンダーで13位タイとなった。
3日間ともにスタートホールでバーディを奪取したものの、「もう少しバーディが欲しかったですね」と悔しがる。
「でも3日間、安定したプレーができて良かったです。外してはいけないところなど、コースの攻略が分かっているので、そこは大きかったと思います。また練習して出場できるように頑張りたい」と話してくれた。
来年は中川にとっては“アウェー”となる鳥取県・大山ゴルフクラブでの再会を楽しみにしている。
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