第1ラウンドから首位に立った大嶋港(関西高校3年)は、2年ぶりの栄冠に大手をかけていたが、勝利の女神は微笑んではくれなかった。
「前半9ホールを終えた時点で、3つ前の組の髙田くんがスコアを伸ばしていたことも知っていたし、同組の武田くんと競っていたことも分かっていました。それなのに後半スコアを伸ばせなかった。まだまだですね」と戦いを終えた大嶋は重い口を開いた。
1打リードで迎えた最終18番ホール。ティーショットを左に曲げ、セカンドショットはグリーン右サイドのバンカーへ。この難しいバンカーショットをピンまで約1メートルに寄せた。
「バンカーショットは最高のショットでした。でも次のパー
パットは、気持ちが入ってしまったのか、思った以上に強めに入ってしまって……」。決めれば優勝のこのパーパットは、無惨にもカップをなめてしまったのだ。
「プレーオフの経験はありますが、3人のプレーオフは初めてでした。ただ、これまでプレーオフでは勝った経験がなかった。技術もメンタルもまだまだ足りないということです。プレーオフでも勝てる選手になりたい」と強く語った大嶋。
大会連覇が期待された昨年大会は調子が悪く、その期待に応えることができなかった。だがこの一年はナショナルチームの一員として、「2022年ノムラカップアジア太平洋アマチュアゴルフチーム選手権」で個人戦4位に入り日本チームの団体戦優勝に貢献。今年6月の日本アマチュアゴルフ選手権では「ようやく満足できるプレーができました」と8位入賞するなど、実績と経験を重ねてきた。
今大会にかける思いは強かっただけに、「今まで一番悔しいです」と正直な気持ちを口にした大嶋。そして「この悔しさをバネに次の戦いに挑みます。今後、ナショナルチームとして国際競技に出場できる機会があれば、チームの勝利に貢献できるようなプレーをしたい」と続けた。
この“悔しさ”は、大嶋をさらに強く逞しく成長させてくれるに違いない。
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