2000 DECEMBER vol.64
 鷹之台では通常、毎週月曜日にスタッフ13人でコースメンテナンスを行う。また、オープンの開催中には近隣のゴルフ場のグリーンキーパーら総勢56人が協力ボランティアとして仕事に就く。
 「キーパーという仕事は、人の管理が7割、技術が3割。どんなに卓越した技術を持っていたとしても一人ではできない。適材適所、効果的に仕事を進めていかなければ、人は動かせないし、やり遂げることもできない」と在原さんは言う。
 そう、グリーンキーパーはコースメンテナンスにおいてのコンダクターなのである。指揮者はタクトを振り、オーケストラを操り、最高の音楽を演出する。
 在原さんもまた、タクトを振り続けていた。

 そのタクトが激しく上下に動きだしたのは、開催3週間前。フェアーウェーとグリーンのセッティングが最終工程に入ったのだ。
 グリーンは、液肥、殺菌剤の散布とともに、転圧をかけてグリーンを硬くする工程に入った。フェアーウェーに関しては、在原さんのこだわりであるクロスカットに着手した。
 クロスカットとは、一方から順目、逆目とカットし、さらにその逆方向から同じように順目、逆目とカットする。つまり、4方向から芝をカットする方法。順目と逆目が交差し、2方向にカットするゼブラカットに比べより美しいグラデーションを浮き上がらせる。

 「テレビ写りを考えて、より美しくする効果もありますが、順目と逆目によってボールのライも変わってきます。これも一つの“罠”なんですよ」と在原さんは言う。


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