2000 DECEMBER vol.64
 実は、探求心の強い在原さんは、過去の日本オープンだけではなく、97年の全米オープン(コングレッショナルCC)にも視察に出かけた。そこで見事なクロスカットに目を奪われた。そして、鷹之台でもこのクロスカットを施すことを決心した。
 そしてもう一つ、在原さんのこだわりはラフ起し。芝は15cmを越えると寝てしまう。芝の中に入ったボールと寝ている芝の上に乗ったボールでは、明らかにライが違ってくる。よりフェアなセッティングを目指す在原さんは、この寝ているラフを徹底的に起すというのだ。
 この作業はすべて手作業。熊手の背の部分を使い、芝が寝ている反対方向に向かって掻き上げる。フェアーウェーの落とし所やグリーン回りなど、18ホールすべてを起すには、大変な時間がかかる。1日ですべてのポイントを起すのは無理。ポイントを絞るしかない。当日の在原さんのタクトはどこを指示するのかが鍵を握る。

 10月2日、開催1週間前。これまでのメンテナンスで締まったグリーンはさらに硬くするため、大型のローラーを使用して転圧をかける。
 前週から刈り始めたフェアーウェーは徐々にクロス模様を浮かび上がらせていた。また、練習場を拡張するためのネット、観客用のスタンド、中継カメラ用の足場など、本番に向けて本格的に鷹之台が変わりはじめていた。


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