2001 DECEMBER vol.68
吉川英明
広報委員

(以下吉川)
その国のゴルフの象徴とも言うべき、ナショナルオープン。もちろん、それは我が国では日本オープンということになります。今後21世紀の日本オープンはどのように運営し、発展させていくのかを日本オープン実行委員会の皆さんと、総務委員会の古賀始委員長にお話していただきたいと思います。
吉川 まず、日本オープンの収支についてですが、現在は協賛金に頼らざるを得ない状況です。特に今年はギャラリー数も前年に比べ約1万人以上減少してしまいました。
古賀 始
総務委員長

(以下古賀)
歴史的に見ますと、最初は無料だったのが、有料になった。有料になってからは慣習的に開催コースに一任するスタイルをとってきました。しかし競技の充実ということから運営費がかかるようになり、企業から特別協賛という形でご協力を得るようになったわけです。
川田太三
オープン
実行副委員長

(以下川田)
そういったやり方にも問題があったし、景気の問題もあると思います。
吉川 もっと観客を増加させて収入を増やす工夫が足りなかったということも言えると思います。単純に比較はできませんが、昨年の全英オープンは、練習日を含めて28万人を動員したと聞きます。どうにか日本オープンも4日間で10万人まで引き上げたいと思うのですが。
川田 これまでの日本のトーナメント自体が、お金を出してチケットを買って見に行くというものではなかったと思います。つまり、トーナメントというものが、各スポンサーにとっての宣伝費という概念が大きく、切符を売るという意識が薄かったのだと思います。これが、日本オープンだけではなく日本のトーナメント全てが歩んできてしまった道だと。しかし、今はそうはいかない。やっと、切符を売らなくてはいけないと気がつき、工夫をし始めたところです。この15〜20年の間で、欧米に近づかなければいけない部分を、育てることができなかったのです。  
吉川 一般の人たちに、コースへ行ってゴルフトーナメントを見る楽しさが浸透していないように思いますが。
戸張 捷
オープン
実行委員

(以下戸張)
以前は日本のプロスポーツで、広報活動をしなくてもお客さんがお金を払って見に行っていたのは大相撲とプロ野球の巨人戦ぐらいなもので、ゴルフはスポンサーがいたから、無料で見にいけるスポーツだった。それだけ恵まれていたのに……。日本のゴルフの魅力作りが間違っていたように思います。テレビや新聞などのメディアへの取り上げられ方、またトーナメント自体の在り方など、もう一度検討する余地があると思います。
吉川 大会自体が魅力的なものになれば、おのずとギャラリーが足を運んでくれるということですね。では、これからどうすれば、日本オープンが魅力的な大会になるとお考えですか。
尾関秀夫
オープン
実行委員長

(以下尾関)
やはり、それには試合内容の充実が求められると思います。インターナショナルな選手が日本オープンに魅力を感じて出場してくれれば、また大会自体の魅力も倍増すると思います。
戸張 過去2度、セベ・バレステロスが出場し、2連勝を飾った77年、78年大会。確かに協賛社の絡みもあって、招聘したという経緯もありましたが、実際ギャラリーはかなり多かった。そのことが良いか、悪いかは別にして日本オープンが、強く人々を惹き付けるような魅力を持つきっかけ作りが必要だと思います。しかしながら、こういった招聘をすることは、JGAとしてのポリシーに関わる問題だと思います。
川田 出場選手にギャランティーを払う、払わないは別にして、個人ベースでの協力を募れば、応じてくれる選手もいるはずです。こういった勧めを、もっとできるようになればいいと考えます。
尾関 日本シニアオープンに出場したグラハム・マーシュが、『こんなにしっかりした運営なのに、なぜギャラリーが少ないのか? もったいない! アメリカから何人か選手を呼んだらいいじゃないか』と言っていましたよ。
大橋一元
オープン
実行委員

(以下大橋)
結局は、チケットが売れないのも、収支が悪いのも、そういうところからきているように思いますね。極端な話、タイガー・ウッズ一人が出てくてれば、新しい協賛社もつくかもしれない。役者不足ということでしょう。
 
戸張 世界の中での日本オープンのあり方を考えないといけない。全英オープンでもない、全米オープンでもない、日本オープンというものを。いずれにしても、これからの日本オープンはこのままではいけない。もう少しスマートに、また仕掛けをつくらなければいけませんね。


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