林は、18番ホールの短いパーパットを沈めるまで自分が首位に立っていることを知らなかった。首位スタートの折尾とは2打差。2番ホール(パー5)では、3メートルのバーディーチャンスにつけ、ボギーとした折尾を早くも逆転できるチャンスを迎えた。しかし、林は優勝争いの緊張から手が動かず、痛恨の3パットでボギーと1打スコアを落とした。3パットのショックは大きく、この後3番ホールボギー、4番ホールでは2打目のクラブ選択を誤り、ダブルボギーを叩く。一方の折尾もスコアを崩していたため、差は広がらなかったものの、林には焦りが出ていた。林の悪い流れが変わったのは5番ホール(パー3)左バンカーからのアプローチをミスし7メートルのパーパットを残した。林はこれを見事に沈めてパーをセーブ。このホールで「自分は短いパットが苦手なんです。でも、その代わり長いパットを入れれば良いんだ。まだ13ホールも残っているんだから」と思える程に落ち着きを取り戻した林は、その後8番、10番ホールで2バーディーを奪い、初優勝を手中にした。「今日は人のスコアを気にせず、自分の出来ることをやろうと思っていました」という言葉通り、この日のショットは好調。師事しているプロの助言であるボディーターンスイングを心がけた結果が、大輪の花を咲かせた。無欲の勝利に林は「優勝には本人が一番びっくりしています。でも、家族は喜んでくれると思います。それに、この試合に出場することに協力して頂いた職場の皆さんにも感謝しています」と満面の笑みを見せた。
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