「勢いに乗って優勝?緊張するだろうけど頑張ります」山本知佳に力みはない。クオリファイングラウンドで堂々のメダリスト。それも8アンダーパーの新記録。好調なショットは衰えを知らず、マッチプレーに入って連戦連勝。スコアのアンダーパーもどんどん積み重なって、今大会6ラウンドで16アンダーパーと抜群の爆発力を見せている。
宮里美香との準決勝では「相手は有名人だけど話したこともないし、緊張しなかった」という。11番ホールで9メートルのパーパットをねじ込んで「来た!」と大声。17番でとどめを刺す8メートルのバーディーを決めて「やった」。好調を持続して楽しんでいる。強豪・東北福祉大3年。「わたしなんか」と謙遜しながら豊富な練習量に支えられたゴルフはしたたか。さすがに疲れた、というが「そのために少しアイアンの切れが悪くなった」と分析する。「疲れると手だけで打ちにいくので、ボールが左へ行きやすい。腰の切れが悪いんですね」-冷静に自分を見つめる能力は非凡だ。
今大会の目標はベスト8入りして日本女子オープン出場だったが、「目標を達成し、いまは“上に上に”という気持ちが出てきた。メダリストを取ったときのプレーができたら勝てると思う」闘争心の沸点が高いタイプで景気のいい言葉はなかなか聞かれないが、決勝戦を前にようやく闘志に火がついた。大学生が勝てば97年、ストロークプレー時代の早稲田大学・中島真弓以来。マッチプレーになってからは初めての快挙となる。
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